歯科衛生士の職務範囲

 

最終更新日 2015/08/11

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歯科衛生士の職務範囲の詳細

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■ 資格関係に関する事例

☆ 2012/04/06: 山梨県は県内の全医療機関に対して、「資格を持たない医療従事者にX線撮影をさせないことを徹底する」よう通知を発出。これは県内の2病院で資格の無い看護師がX線撮影を続けていたことが判明しての措置。2病院には立入検査を行い、口頭で指導。
※ 診療放射線技師法違反での告発はしていないんですね。おやさしいこと。

☆ 2011/03/01: 茨城県小美玉市内の歯科医院で歯科助手が歯石除去を行っていたとして、水戸保健所は歯科衛生士法に抵触する可能性があるとして改善を求めた。

☆ 2010/08/23: ホワイトニングは歯科衛生士でも可?

☆ 2008/10/06 日本歯科医学会が日本歯科医師会に対して出した、「歯科衛生士の職務範囲(全350項目)」を入手。

☆ 2005/11/11 東京の歯科医師と歯科衛生士の妻が歯科医師法違反で逮捕。妻に「麻酔をして抜髄をさせた」等の容疑

☆ 2002/08/29 徳島県小松島市の休日歯科診療の一部で、歯科助手が診療に携わり歯科衛生士として報酬を受け取っていた。

☆ 2002/08/23  香川県善通寺市の脳神経外科医院で准看護師に無免許で放射線照射を行わせていたとして、医師と准看護師を書類送検。

☆ 2002/06/03 歯科助手に歯石除去をさせて資格外として保健所の指導(帯広?)

☆ 2001/11/14 兵庫県宝塚市の歯科医師が歯科衛生士と助手にエックス線撮影をさせていた疑いで逮捕された。歯科衛生士と助手は書類送検。また歯科技工士に歯科医療を行わせていたとして歯科医師法違反でも逮捕。

■ 歯科衛生士の職務範囲

☆ 昨今歯科医院における業務の資格関係が話題になることが多い。それらは大きく分けて、
   (1) 歯科衛生士がその職務範囲を越えて業務を行っている。
   (2) 歯科助手が歯科衛生士の業務を行う。
 どのようなことにも「グレーゾーン」が存在するので、全てのことに目くじらをたてるのはどうかと思われるのだが、「ブラックゾーン」に踏み込まないで、グレーゾーンで踏みとどまるには、あくまでも「ホワイトゾーン」と「ブラックゾーン」を認識しなければならない。もっとも、全ての事例が白黒つけられることではないが、このページでは歯科衛生士の職務範囲について考えてみたい。

☆ 歯科衛生士法
 そもそも歯科衛生士の職務範囲の根拠となるのは「歯科衛生士法」である。

第2条(定義)
この法律において「歯科衛生士」とは、厚生大臣の免許を受けて、歯科医師(歯科医業をなす事のできる医師を含む。以下同じ。)の直接の指導の下に、歯牙及び口腔の疾患の予防処置として次に掲げる行為を行うことを業とする女子を言う。
一 歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によって除去すること
二 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること
2 歯科衛生士は保健婦助産婦看護婦法第31条第1項及び第32条の規定にかかわらず、歯科診療の補助をなすこと業とする事ができる。
3 歯科衛生士は、前2項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。

 これを解釈すると、こういうことが言えよう。

(1) 歯科医師の直接の指導の下に歯牙及び口腔疾患の予防処置として、歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によって除去することができる。 → これは歯科医院おける「PMTC」「PTC」などが該当するであろう。

(2) 歯牙及び口腔に対して薬物を塗布することができる。 → これは「サホライド」や「フッ素塗布」などに代表される行為であろう。

(3) 歯科診療の補助を行うことができる。

(4) 歯科保健指導を行うことができる。 → これは学校や検診、保健所などにおける歯科保健指導であろう。

 (1)(2)(4)は比較的解釈は簡単である。しいて言えば、(1)をもとに、「歯科衛生士は歯肉縁上の歯石除去しかできない」という解釈が適切か否かということである。しかし、それは(3)の解釈如何によるのである。従って、「歯科衛生士の職務範囲」を考えることは、まさに「歯科診療補助とは何か?」ということに尽きるのである。

 参考資料

第13条の2(歯科医師行為の禁止)
歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当たっては、主治の歯科医師の歯科医師の指示があった場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずる恐れのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当てをすることは差し支えない。

第13条の5(秘密保持業務)
歯科衛生士は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。衛生士でなくなった後においても、同様とする。

昭和63年8月31日 健政発538 厚生省健康制政策長通知より 
上記通知の別紙の歯科訪問事業の実施内容に「口腔清掃・義歯の使用方法等の保健指導」とあり、訪問担当者に歯科医師及び歯科衛生士とある。

☆ 歯科診療補助とは何か?
 まず、歯科診療補助を考える時に、医行為(歯科医行為)とは何かを知らなければならない。
詳細は「医行為(医業)」を参考としていただきたいが、以下の項目だけは覚えておいて頂きたい。
(1) 医(歯科医)行為とは「医師(歯科医)が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」である。
(2) 医(歯科医)行為には「絶対的医(歯科医)行為」と「相対的医(歯科医)行為」があり、歯科衛生士が行える歯科診療補助とはまさにこの相対的医(歯科医)行為なのである。

 次に看護師の業務を考えてみたい。
看護師がどういった法的根拠で「注射」などを行えるのか?

 保健師助産師看護師法
第5条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

 つまり、この条文の「診療の補助」というのが根拠であり、歯科衛生士の「歯科診療補助」と変わりないのである。つまり、相対的医(歯科医)行為としてどのくらい許されるかということが、看護師、歯科衛生士の業務範囲を解釈するうえで重要なことなのである。

☆ 注意事項

 ただし、注意していただきたいことがある。それは診療時のX線撮影である。なぜならX線撮影は診療放射線技師法で規定した業務であり、診療放射線技師でなければ行えないのである。従って、普段の業務は歯科診療補助の範疇か否かのグレーゾーンである場合も多いが、X線は診療放射線技師法のブラックゾーンと判断されるからである。実際、こちらにみられるように逮捕例もでていますので御注意下さい。

 診療放射線技師法

第2条(定義)
この法律で「放射線」とは、次に掲げる電磁波又は粒子線をいう。
一 アルファ線及びベータ線
二 ガンマ線
三 100万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線
四 エックス線
五 その他政令で定める電磁波又は粒子線

2 この法律で「診療放射線技師」とは、厚生大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(撮影を含み、照射機器又は放射線同位元素を人体内に挿入しておこなうものを除く。)することを業とする者を言う。

第24条(禁止行為)
医師、歯科医師又は診療放射線技師でなければ、第2条第2項(診療放射線技師の定義)に規定する業をしてはならない。

■ 歯科衛生士の職務範囲に関する参考資料

☆  麻酔行為の否定について

「昭和40・7・1 医事48」麻酔行為、においては

(照会)
麻酔行為は患者に麻薬及び毒劇薬を施行する医行為であり、またその実施中は常時高度の医学的知識及び技術と細心の注意をもって患者の状態を監視し、その変化に即応して適当な措置を講ずる必要のある医行為であると考えるが、左記のものはそれぞれ法違反であり、麻酔の施行にあたっては不適当であると思うが御回答を願いたい。

1 医師、看護婦又は准看護婦でない者が、医師の指示の下に業として麻酔行為の全課程に従事すること。
2 看護婦が業として麻酔行為を行うこと。
3 吸入法による麻酔の下に患者を手術する場合、手術実施中の医師が麻酔について指示することは実態上不可能と考えられるが、手術実施中の医師の指示の下にと称して医師でない者が、当該麻酔行為を行うこと。

(回答)
麻酔行為は医行為であるので、医師、歯科医師、看護婦、准看護婦又は歯科衛生士でない者が、医師又は歯科医師の指示の下に、医業として麻酔行為の全課程に従事することは、医師法、歯科医師法、保健婦助産婦看護婦法又は歯科衛生士法に違反するものと解される。その場合、いずれの法規に違反するかは、当該医師又は歯科医師の指示の態様によるものと解される。
2 看護婦が、診療の補助の範囲を超えて、業として麻酔行為を行うことは、医師法違反になるものと解される。
3 御設問の場合において、実態上医師の指示がないか、又は医師が指示をすることが通常不可能と考えられる状態において、医師でない者が麻酔行為を行うことは医師法又は保健婦助産婦看護婦法に違反するものと解される。
☆  歯科衛生士の業務範囲について

昭和41年8月15日 歯科23 鳥取県厚生部長あて 厚生省医務局歯科衛生課長回答

(照会)
このことについては、下記のとおりと解してよろしいか。

 歯科衛生士法第2条第1項に規定されている歯科医師の直接の指導下に行う予防処置とは、
(見解)歯科医師が診断した患者のみを対象にするものであり、かつ、歯科医師の常時指導によって行う予防処置である?

2 歯科衛生士法第二条第二項に規定されている歯科診療の補助とは、
(見解)歯科診療の補助の内容はきわめて多岐にわたると考えますが口の中にはいっさい触れることはできない?

3 歯科衛生士法第十三条の二に規定されているただし書きの臨時応急の手当ての範囲
(見解)歯科医師の診療を受けるまで放置すると生命又は身体に重大な危害をきたすおそれのある場合に、歯科衛生士がその業務の範囲内において、患部を一応応急処置する行為をいうものである。なお応急処置の後歯科医師の同意を受けず引き続き処置することはできない?

4 日本歯科医師会発行(昭和39年1月)の歯科医療管理の手引き中歯科衛生士の行為別の可否について
(見解)
(1) カルテに書き込むこと(診療に関する事項)
(2) 主訴を聞き取り記入する(カルテ)
(3) 口の中を慨診する
(4) 貼薬(仮封)
(5) 仮封材の除去
(6) 裏装剤のちょう布
(7) マトリックス装着・除去
(8) 充てん剤のてんそく
(9) 充てん物の研磨
(10) ワクスパターンの埋没
(11) インレー、冠の装着
(12) きょう正装置の除去

(回答)
1 貴見は概ね妥当であるが、歯科医師は指導にあたっては、常時立ち会うことを要しないが、常に直接の指導をなし得る態勢にあることを要すると了解されたい。

2 歯科衛生士が歯科診療補助として行うことができる業務については、その知識及び技能に応じて、おのずから一定の限界があるが、口腔内に触れ得ないとする解釈は、やや狭きに失したものと考えられる。

3 歯科衛生士法第十三条の二ただし書きは、歯科保健上緊急の処置を要する場合であって、歯科医師の診療を受け難いときに、歯科衛生士は通常歯科医師の指示があれば行い得る業務の範囲内で必要最低限度の処置を行うことを認めたものと解すべきである。

4 各事項に関する見解は、それぞれ次のとおりである。
(1) 歯科医師の口述を筆記するにとどまる場合は許される。
(2) できない
(3) 照会趣旨不分明で回答できない。
(4)〜(9)主治の歯科医師の指示があった場合はできる。
(10) 歯科衛生士の業務範囲の問題ではない。
(11) できない。
(12) 主治の歯科医師の指示があった場合はできる。

☆ 日本歯科医師会雑誌平成2年11月号より

昭和61年の調査により、「歯科衛生士の歯科診療補助業務の適法性は、主治の歯科医師の指示の適否に係っている。」とし、1つの行為の名をあげて一律に指示の適否をあげるのではなく、患者の状態、その行為の影響の軽重、歯科衛生士の知識技能の状態等によって異なるとされる。

絶対的禁止行為@歯牙の切削A切開や抜歯などの観血処置B精密印象を取ることや咬合採得C歯石除去術のための鎮痛処置を除いた薬剤の皮下注射や歯肉注射。
 
 

 

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