独禁法に関する参考資料

 

最終更新日 2017/09/13

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医師会の活動に関する独占禁止法上の指針 ・ 業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針

 医師会の活動に関する独占禁止法上の指針


               (昭和56年8月7日 公正取引委員会事務局)



       医師会の活動に関する独占禁止法上の指針


 医師会、特に地区医師会の活動については、いわゆる医療機関の適正配置に関する活動などに関し、独占禁止法違反とされた事例もあり、当委員会は、医師会の活動に関してアンケート調査を実施し、その実態の把握に努めたのを機に、今般、医師会の活動と独占禁止法との関係についての考え方を、活動指針として取りまとめた。この活動指針は、医師会諸活動に対する独占禁止法の適用について当委員会の考え方を参考例を上げつつ、具体的に明らかにすることにより、同報に抵触することとなる活動を未然に防止しようとするものである。
 なお、医師会の具体的活動が、独占禁止法に抵触するおそれがあるか否かについては個々の事案ごとに判断を要する場合も多いと考えられるので、かかる場合には、当委員会に設けられた一般相談、あるいは、事前相談制度により個別の相談に応じることとした。

1.新規開業等の制限に関する行為

(1)考え方
  新規開業しようとする医師が、医師会に入会を希望している場合に、医師会が、これを拒否して新規開業を不当に制限したり、医院の分院の設置、増床等についてこれを不当に制限することは、原則として違反となる。
  しかしながら、他の医療機関の活動状況等に関する情報を提供したり、合理的な範囲内の助言をすることは、原則として違反とならない。

(2)参考例
  違反となるかどうかを判断するため参考となる類型を以下に例示する(なお、各項末尾の()内は、主な関係条文を示すもので、例えば、8-1-1とあるのは独占禁止法第8条第1項第1号の略)

 〇原則として違反となるもの
1-1 新規開業をしようとする者に対して、規約、内規などにより特定地域における医療機関の数の限定、距離制限その他の基準を設け、その開業を不当に制限すること(8-1-3)。
1-2 新規開業をしようとする者に対して、その近隣の既設の医療機関の開設者等との間の調整を行い、調整に従わない場合には、新規開業をしようとする者の入会を認めないこと(8-1-3)。
1-3 開院の分院の設置、増床等について特定地域における医療機関又は病床の数の制限、距離制限などの方法により分院の設置、増床などを不当に制限すること(8-1-4)。
1-4 新規開業の制限を目的又は効果として持つ高額な入会金、負担金などを徴収すること(8-1-3)。
(この「高額」なと言う基準が問題である。)

 〇違反となるおそれがあるもの
1-5 入会希望者の入会申請手続上、近隣の会員などの推せん等を要求すること。なお、その運用上、1-1又は1-2と同様の効果を持つと認められる場合には、原則として違反となる(8-1-3)。
1-6 医療機関の開設希望場所を他所にするよう要請し、又は、代替地を斡旋すること。なお、要請や斡旋の範囲を超えて、事実上強制することとなる場合には、原則として違反となる(8-1-3)。
1-7 医療機関の標榜診療科目を調整すること。なお、近隣の医療機関の標榜する診療科目と重複することを避ける目的で合理性のない調整を行う場合には、原則として違反となる(8-1-3)。
1-8 社会通念上合理性のない高額な入会金、負担金を徴収すること。なお、1-4と同等の効果を持つと認められる場合には、原則として違反となる(8-1-3)

 〇原則として違反とならないもの
1-9 新規開業を使用とするものに対して相談に応じ、他の医療機関の分布状況、地域の特性、人口の分布などについての情報を提供するなど、合理的な範囲内において助言すること。
1-10 医療機関の分布状況などを含め、適正な医療の供給について調査、研究、啓蒙などを行うこと。

2.医療機関の事業活動に対する不当な妨害に関する行為など

(1)考え方
  医師会が、団体として会員又は非会員が開設している特定の医療機関の事業活動に対して、不当な差別的扱いをしたり、不当な圧力を加える場合には、原則として違反となる。

(2)参考例

 〇原則として違反となるもの
2-1 会員又は非会員の行政機関などからの委託事業の受託について、これを不当に妨害すること(8-1-3、8-1-4)。
2-2 優生保護医の指定に際して、非会員を合理的な理由なく差別的に取り扱うこと(8-1-3)。
2-3 健康保険医療機関等の指定について、非会員が指定を受けることを不当に妨害すること(8-1-3)。
2-4 医薬品、医療設備などの共同購入、その他の協同事業を行う場合に、会員にその利用を強制し、又は、その利用について特定の会員を不当に差別的に取り扱うこと(8-1-4)。
2-5 医薬品、医療設備の供給者に対して、特定の会員又は非会員に販売しないよう不当に圧力を加えること(8-1-5)。

3.自由診療料金及び文章料金表の作成に関する行為

(1)考え方
  自由診療料金や文章料金を医師会が決定している場合には、原則として違反となる。また、標準料金など会員の料金設定の基準となるものを決定している場合にも、原則として違反となる。

(2)参考例

 〇原則として違反となるもの
3-1 自由診療料金や文章料金を医師会で決定すること(8-1-1、8-1-4)。
3-2 自由診療料金や文章標準料金等会員の料金設定の基準となるものを決定すること(8-1-1、8-1-4)。

 〇違反となるおそれのあるもの
3-3 共通料金設定に役立つ、作業量、技術的難易度などに関する指標などを決定すること。なお、指標の単価等を決定することにより3-1又は3-2と同様の効果を持つと認められるばあいには、原則として違反となる(8-1-1、8-1-4)。

 〇原則として違反とならないもの
3-4 医薬品、医療設備などの価格に関する、公正かつ客観的な比較資料を会員に提供すること。
3-5 個々の会員にそれぞれの料金表を提示するよう指導し、又は、合理的な範囲内でその料金表の様式を統一すること。

4.診療時間及び広告に関する行為

(1)考え方
  医師会のなかには、診療時間について取り決めたり、広告について医療法による規制以上の制限を行っている場合があるが、診療時間については合理的な範囲内のものであって、その遵守を強制しないものであれば、原則として違反とはならないし、広告に関する上記制限についても同様と考えられる。
(2)参考例

 〇原則として違反となるおそれのあるもの
4-1 診療時間の制限を定めること。なお、制限の内容が合理的でない場合やその遵守を強制する場合には、原則として違反となる(8-1-4)。
4-2 広告宣伝について制限を行うこと。 なお、上記制限の内容が合理的でない場合やその遵守を強制する場合には、原則として違反となる(8-1-4)

 〇原則として違反とならないもの
4-3 緊急当番医制を実施し、又は、実施しようとする場合において緊急当番医の診療時間を定めること。
4-4 医師の健康の保持や従業員対策上の配慮から、会員にその遵守を強制しない診療時間の目安を定めること。

業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針


                     平成7年10月 公正取引委員会



1.(略)
2.(略)
3.顧客、販路などの制限事項
 事業者団体が、次のような顧客、販路等に関する行為を行い、これにより市場における競争を実質的に制限することは、法第8条第1項第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても、次のような行為は、原則として法第8条第1項第4号の規定に違反する。
3-1 (取引先の制限)
  各構成事業者が他の事業者の顧客と取り引きしないことを決定するなどに より、構成事業者の取引先を制限すること。
 <具体例>
 Y事業廃棄物処理業者等団体事件(平成3年(勧)第19号)では、構成事業 者感の顧客の争奪を抑制するため、構成事業者は、相互に、他の構成事業者 が既に取り引きしている顧客を尊重し、当該顧客に対する積極的な営業活動 を行わないことを決定したことが法第8条第1項第4号違反とされた。U印刷用彫刻ゴム製版業者等団体事件(昭和43年(勧)第8号)では、構成 事業者にその販売先の登録申請を行わせ、新規販売先の登録に際し、既に他 の構成事業者が当該販売先を登録している場合は、既登録者有線を原則とし て当該団体においてその調整を行うことなどを決定したことが、法第8条第1 項第4号違反とされた。
3-2 (市場の分割)
  〇構成事業者別に、事業活動を行う地域や商品又は役務の種類などの範囲を制限すること。
 <例>
 ・販売業者の団体が、構成事業者別にその販売地域を限定し、市場を地域にによって分割すること。
 ・製造業者の団体が・・・・(略)
3-3 (受注の配分、受注予定者の決定等)・・・・(略)
4.(略)
5.参入制限行為等
 事業者団体が、次のような参入制限等に関する行為を行い、これにより市場における競争を実質的に制限することは、法第8条第1項第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでに至らない場合であっても、次のような行為は原則として法第8条第1項第3号、第4号又は第5号の規定に違反する。
5-1 (参入制限)
 〇例えば、下記5-1-1から5-1-3に挙げるような行為により、新たに事業者が参入することを著しく困難とさせ、又は既存の事業者を排除すること。
5-1-1(商品又は役務の供給制限)
 〇構成事業者や構成事業者の取引先事業者に、特定の事業者に対する商品又は役務の提供を制限させるようにすること。
5-1-2(商品又は役務の取扱制限)
 〇構成事業者や構成事業者の取引先事業者に、特定の事業者が供給する商品又は役務について、その供給を受けることの制限をさせるようにすること。
5-1-3(不当な加入制限又は除名)
 〇団体に加入しなければ事業活動を行うことが困難な状況において、不当に、団体事業者の加入を制限し、又は団体から事業者を除名すること。
 (1)不当な加入制限に当たるおそれが強い行為事業者団体が、例えば次のような事業者団体への加入条件に係わる行為をすることは、上記5-1-3における「不当に、団体への事業者の加入を制限」することに当たるおそれが強いことから、事業者団体に加入しなければ事業活動を行うことが困難な状況においては、違反となるおそれが強い。
5-1-3-・(過大な入会金等の徴収)
 〇社会通念上合理性のない高額に過ぎる入会金や負担金を徴収すること
  <違反とされた具体例>
 X医師会事件(昭和55年(勧)第7号)では、当該医師会に加入せずに独自に開業する場合には、学校医への推薦、優生保護法に基づく指定医師の指定の申請に係わる業務、関係行政機関からの通達などの伝達など業務上必要な便宜の供与が受けられず、また、診療面で他の開業医の協力を求め難いことなどから、当該医師会に加入しないで開業医となることが一般に困難な状況下で、地区内での病院又は診療所の開設を制限するとともに、その開設制限を強化するため、開業医として入会するものから徴収する入会金の額を従来の倍額以上に引き上げることを決定したことが、法第8条第1項第3号および第4号違反とされた。
5-1-3-・(店舗数の制限など)
 〇一定地域における店舗などの数の制限や既存の店舗等と一定の距離を保つことを内容とする加入資格要件を設定すること。
 <違反とされた具体例>
 X青果物販売業者団体事件(昭和40年(勧)第29号)では、卸売市場を開設している甲社、乙社及び丙社が当該団体に加入した者でなければ仲買人としないこととしていたため、当該団体に加入しなければ卸売市場から青果物を仕入れることが出来ず、青果物の販売業を営むことが困難な状況において、当該団体への新規加入者の資格として、その店舗が既存構成事業者の店舗から300メートル以上の間隔があることを原則とするなどの制限を設け、当該団体への加入を制限したことが、法第8条第1項第3号違反とされた。
5-1-3-・(直接的な競合関係にある事業者の了承等)
 〇団体への加入について、事業の地域、分野等について特に直接的な競合関係にある構成事業者の了承、推薦等を得ることを条件とすること。
 <違反とされた具体例>
 X医師会事件(勧)第7号)では、当該医師会に加入しないで開業医となることが一般に困難な状況の下で、地区内に病院又は診療所を開設などする場合には当該医師会の承認を得させることとし、承認願には構成事業者の紹介を必要とし、また、承認の可否の決定に際しては開設予定地周辺の構成事業者の意見を特に重視することなどを決定したことが、法第8条第1項第3号及び第4号違反とされた。
5-1-3-・(国籍による制限)(略)

(注)例えば、事業者団体が、事業活動に重要な影響のある公的事業の実施のための業務を委託された場合に、その実施に際して、非構成事業者を差別的に取り扱うような場合には、「事業者団体に加入しなければ事業活動を行うことが困難な状況」が生じ得る。

 (2)加入条件等に係わる行為でそれ自体としては問題とならないものなお上記(1)に対して、事業者団体が、その設立目的や事業内容などに照らして合理的な内容の加入資格要件や除名事由を設定することは、それ自体とし
ては、独占禁止法上問題となるものではない。 また、事業者団体が社会通念上合理的な金額の入会金や合理的な計算根拠に基づいた負担金を徴収すること又は入会金や負担金の金額につき構成事業者間で企業規模などに応じて合理的な格差を設けることは、それ自体としては、独占禁止法上問題となるものではない。

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