貸借対照表

最終更新日 2017/09/13 DscyOffice Top
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 このページでは歯科医院の会計を簡潔に説明しているため、税務会計の原則からするとおかしな点もありますので基本的事項として理解して下さい。

■ 貸借対照表の基本

 貸借対照表とは、一定時点(一般には年度末)における歯科医院の財務状態を「資産」「負債」「資本」の区分によって表示したもので、左右が天秤のように釣り合うため「バランスシート(BS)」とも言われます。

(1) 左側を「借方(かりかた)」といって、財産を表します。右側は「貸方(かしかた)」といって、財産の出所(調達法)をあらわしています。又「貸方」は返すべき金額をあらわす「負債」と、返す必要のない「資本」に区分します。

資産 負債
資本

(2)

資産の部
T 流動資産
(1) 現金及び預金
(2) 売掛金
(3) 棚卸資産
(4) 未収金
(5) 
(6) 貸し倒れ引当金

U 固定資産
(1) 有形固定資産
 @ 建物
 A 建物付属設備
 B 構築物
 C 機械装置
 D 工具備品
 E 車両運搬具
 F 土地
(2) 無形固定資産
 @ 電話加入権
(3) その他の資産
 @ 

V 繰延資産
(1) 開業費

W 事業主貸し

負債の部
T 流動負債
(1) 買掛金
(2) 未払い金
(3) 預かり金
U 固定負債
(1) 借入金


 

資本の部
T 元入金
(いわゆる資本金や剰余金と利益を含めたものであるが、個人事業の場合には資本金という概念がないので併せて元入金という)
U 事業主借り

 

 

 

利益 売上(収入)
費用(必要経費)

流動資産: 1年以内に回収する可能性のある資産
固定資産: 1年以上そのままにして、回収しない資産
繰延資産: 一定期間で償却する資産

流動負債: 1年以内に返済する負債
固定負債: 1年以上で返済する負債

元入金: 事業主が事業のために支出している年度初めの金額(年度初めの資産-負債の金額)

あくまでも一般企業における基準であるが、自己資本比率(資本÷総資産)の評価の基準は以下のように言われています。
40%以上:優良 ・ 30%代:良 ・ 20%代:普通 ・ 20%以下:問題あり

■ 歯科医院の貸借対照表の実際

(1) 歯科医院の設立時には資本金が必要です。しかし企業とは異なり個人事業には資本金という用語はありません。資本金に代わるものは個人事業では「元入金」と言います。しかし解釈上は「資本金=元入金」と思って下さい。

現金1000万円 元入金1000万円

(2) 現金を手元においておくのは物騒なので900万円を預金にしました

現金100万円 元入金1000万円
預金900万円

(3) 1000万円では歯科医院は開設できません。銀行から5000万円の借金をします。建物を建てるための設備資金ですから返済は15年の長期としました。銀行の決済がおりて銀行口座に5000万円が入金されました。

現金100万円 長期借入金5000万円
預金5900万円 元入金1000万円

(4) 歯科医院を建てるには土地が要ります。坪10万円の土地を100坪購入し預金より支払いました。

現金100万円 長期借入金5000万円
預金4900万円 元入金1000万円
固定資産(土地)1000万円

(5) 次には建物ですね。坪単価50万円で40坪の建物を建て預金より支払いました。

現金100万円 長期借入金5000万円
預金2900万円 元入金1000万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円

(6) 歯科医院にはユニットが必要です。300万円のユニットを2台購入し預金より支払いました。

現金100万円 長期借入金5000万円
預金2300万円 元入金1000万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円
機械設備600万円

 このように一つ一つの取引を「仕訳」していくと、このように左右の金額が釣り合っています。ゆえにこれをバランスシート(貸借対照表)と言います。
 歯科医院にはユニット以外にも必要なものが沢山ありますが、それはおいておいて、診療を始めると以下のようになります。

(7) 7月1日に開業して1ヶ月たちました。7月分の診療点数は20万点でした。その3割(60万円)は一部負担金として入金しましたが、残りの7割は売掛金として2カ月後に支払基金と国保連から振り込まれる予定です。

現金160万円 長期借入金5000万円
預金2300万円 元入金1000万円
売掛金140万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円 売上(診療費)200万円
機械設備600万円

(8) もちろん診療を行うと色々な経費がかかります。ここでは代表的な人件費の分を記載します。この歯科医院には月給20万の歯科衛生士が2名います。現金から給与を支払って、源泉税2万円を徴収しました。まぁ他の経費を全部無視して計算すると、この月の収入は200万で支出は40万ですから収支(利益・損益計算書)は160万円となります。

現金122万円 長期借入金5000万円
預かり金(源泉税)2万円
預金2300万円 元入金1000万円
売掛金140万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円 売上(診療費)200万円
機械設備600万円
経費(人件費)40万円

(9) 銀行に対しては毎月借入金の返済が行われます。その金額は月額40万円です。

現金122万円 長期借入金4960万円
預かり金(源泉税)2万円
預金2260万円 元入金1000万円
売掛金140万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円 売上(診療費)200万円
機械設備600万円
経費(人件費)40万円

(10) 途中またはしょりますが、9月になると「支払基金」と「国保連」から140万の診療費が振り込まれます。なお売上(診療報酬)や経費は8〜12月にも発生しますが、説明の便宜上割愛します。

現金122万円 長期借入金4960万円
預かり金(源泉税)2万円
預金2400万円 元入金1000万円
売掛金0万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円 売上(診療費)200万円
機械設備600万円
経費(人件費)40万円

(11) 年末になって年末調整が終わったら、税務署に従業員の源泉税を支払います。

現金120万円 長期借入金4960万円
預かり金(源泉税)0万円
預金2400万円 元入金1000万円
売掛金0万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円 売上(診療費)200万円
機械設備600万円
経費(人件費)40万円

 以上は、かなりはしょっていますが、歯科医院の取引の代表例を「複式簿記」の考え方を元に記載したものです。さあ、開業初年度は無事過ぎ去りました。12月31日現在の状況をもとに、翌年の3月15日まで確定申告をしなければなりません。そのためには「損益計算書」と「貸借対照表」を作成する必要があります。

(貸借対照表)

現金120万円 長期借入金4960万円
預かり金(源泉税)0万円
預金2400万円 前期元入金1000万円+利益160万円=当期元入金1160万円
売掛金0万円
固定資産(土地)1000万円
固定資産(建物)2000万円
機械設備600万円

 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

資産合計6120万円 負債+資本合計6120万円

 仮にこの時点で歯科医院を閉めて生産するとどうなるであろうか?土地や建物や機械を帳簿価格で売却すると6120万円である。それを資金に銀行の長期借入金4960万円を返済すると1160万円(資本の部)が残る。そのうちの1000万円は資本金(元入金)であるから残りの160万円(当期利益)が残ることがわかります。
 しかし、建物や機械が帳簿価格で売れることは無いでしょうから、仮に土地は購入価格(帳簿価格)で、建物と機械は購入価格(帳簿価格)の半値で売却できたと仮定すると、手元の資金は現金や預金を合わせて4820万円です。これでは銀行の借金を返すのにも140万円足りません。もちろん元入金1000万円も戻ってこないので半年の開業で1140万円損したことになります
 以上はあくまでも仮定の数字で、実態とはかけ離れておりますが、とりあえずそういうことなのです。「貸借対照表」という数字上は資産=(負債+資本)で釣り合っていますが、企業は基本的に解散を想定していません。しかし、個人事業では廃業ということが常につきまとっています。従って、その時点で廃業したときの財産価値(換金価値といってもいいかもしれない)が釣り合うまで気は抜けないのである。
 ちなみに上記の貸借対照表から自己資本比率を出すと、1160万円÷6120万円=18.95%となり、上記の基準からすると「問題有り」の財務体質となります。

(損益計算書)

利益160万円 売上(診療費)200万円
経費(人件費)40万円

このようにして作成された「損益計算書」と「貸借対照表」をもとに確定申告書を作成するのです。

 

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