個人情報保護法ガイドライン

 

最終更新日 2017/09/13

■ 医療・介護関係事業者における 個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン

目次

T 本ガイドラインの趣旨、目的、基本的考え方

1.本ガイドラインの趣旨
2.本ガイドラインの構成及び基本的考え方
3.本ガイドラインの対象となる「医療・介護関係事業者」の範囲
4.本ガイドラインの対象となる「個人情報」の範囲
5.大臣の権限行使との関係等
6.医療・介護関係事業者が行う措置の透明性の確保と対外的明確化
7.責任体制の明確化と患者・利用者窓口の設置等
8.遺族への診療情報の提供の取扱い
9.個人情報が研究に活用される場合の取扱い
10.遺伝情報を診療に活用する場合の取扱い
11.他の法令等との関係
12.認定個人情報保護団体における取組

U 用語の定義等

1.個人情報(法第2条第1項)
2.個人情報の匿名化
3.個人情報データベース等(法第2条第2項)、個人データ(法第2条第4項)、 保有個人データ(法第2条第5項)
4.本人の同意
5.家族等への病状説明

V 医療・介護関係事業者の義務等

1.利用目的の特定等(法第15条、第16条)
2.利用目的の通知等(法第18条)
3.個人情報の適正な取得、個人データ内容の正確性の確保(法第17条、第19条)
4.安全管理措置、従業者の監督及び委託先の監督(法第20条〜第22条)
5.個人データの第三者提供(法第23条)
6.保有個人データに関する事項の公表等(法第24条)
7.本人からの求めによる保有個人データの開示(法第25条)
8.訂正及び利用停止(法第26条、第27条)
9.開示等の求めに応じる手続及び手数料(法第29条、第30条)
10.理由の説明、苦情対応(法第28条、第31条)

W ガイドラインの見直し等

1.必要に応じた見直し
2.本ガイドラインを補完する事例集等の作成・公開
別表1 医療・介護関係法令において医療・介護関係事業者に作成・保存が義務づけ られている記録例
別表2 医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される利用目的
別表3 医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される主な事例(法令に基づく場合)
別表4 医療関係資格、介護サービス従業者等に係る守秘義務等
別表5 医学研究分野における関連指針
別表6 UNESCO国際宣言等


T 本ガイドラインの趣旨、目的、基本的考え方

1.本ガイドラインの趣旨
 本ガイドラインは、「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号。以下「法」という。)第6条第3項及び第8条の規定に基づき、法の対象となる病院、診療所、薬局、介護保険法に規定する居宅サービス事業を行う者等の事業者等が行う個人情報の適正な取扱いの確保に関する活動を支援するためのガイドラインとして定めるものであり、厚生労働大臣が法を執行する際の基準となるものである。

2.本ガイドラインの構成及び基本的考え方
 個人情報の取扱いについては、法第3条において、「個人情報が、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものである」とされていることを踏まえ、個人情報を取り扱うすべての者は、その目的や様態を問わず、個人情報の性格と重要性を十分認識し、その適正な取扱いを図らなければならない。 特に、医療分野は、「個人情報の保護に関する基本方針」(平成16年4月2日閣議決定。以下「基本方針」という。)及び国会における附帯決議において、個人情報の性質や利用方法等から、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野の一つであると指摘されており、各医療機関等における積極的な取組が求められている。 また、介護分野においても、介護関係事業者は、多数の利用者やその家族について、他人が容易には知り得ないような個人情報を詳細に知りうる立場にあり、医療分野と同様に個人情報の適正な取扱いが求められる分野と考えられる。 このことを踏まえ、本ガイドラインでは、法の趣旨を踏まえ医療・介護関係事業者における個人情報の適正な取扱いが確保されるよう、遵守すべき事項及び遵守することが望ましい事項をできる限り具体的に示しており、各医療・介護関係事業者においては、法令、基本方針及び本ガイドラインの趣旨を踏まえ、個人情報の適正な取扱いに取り組む必要がある
 具体的には、医療・介護関係事業者は、本ガイドラインの【法の規定により遵守すべき事項等】のうち、「しなければならない」等と記載された事項については、法の規定により厳格に遵守することが求められる。また、【その他の事項】については、法に基づく義務等ではないが、達成できるよう努めることが求められる。

3.本ガイドラインの対象となる「医療・介護関係事業者」の範囲
 本ガイドラインが対象としている事業者の範囲は、
@ 病院、診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション等の患者に対し直接医療を提供する事業者(以下「医療機関等」という。)
A 介護保険法に規定する居宅サービス事業、居宅介護支援事業及び介護保険施設を経営する事業、老人福祉法に規定する老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設を経営する事業その他高齢者福祉サービス事業を行う者(以下「介護関係事業者」という。)
 であり、いずれについても、個人情報保護に関する他の法律や条例が適用される、国、地方公共団体、独立行政法人等が設置するものを除く。ただし、医療・介護分野における個人情報保護の精神は同一であることから、これらの事業者も本ガイドラインに十分配慮することが望ましい。
 なお、検体検査、患者等や介護サービス利用者への食事の提供、施設の清掃、医療事務の業務など、医療・介護関係事業者から委託を受けた業務を遂行する事業者においては、本ガイドラインのV4.に沿って適切な安全管理措置を講ずることが求められるとともに、当該委託を行う医療・介護関係事業者は、業務の委託に当たり、本ガイドラインの趣旨を理解し、本ガイドラインに沿った対応を行う事業者を委託先として選定するとともに委託先事業者における個人情報の取扱いについて定期的に確認を行い、適切な運用が行われていることを確認する等の措置を講ずる必要がある。
 また、法令上、「個人情報取扱事業者」としての義務等を負うのは医療・介護関係事業者のうち、識別される特定の個人の数の合計が過去6ヶ月以内のいずれの日においても5,000を超えない事業者(小規模事業者)を除くものとされている。 しかし、医療・介護関係事業者は、個人情報を提供して医療・介護関係事業者からサービスを受ける患者・利用者等から、その規模等によらず良質かつ適切な医療・介護サービスの提供が期待されていること、そのため、良質かつ適切な医療・介護サービスの提供のために最善の努力を行う必要があること、また、患者・利用者の立場からは、どの医療・介護関係事業者が法令上の義務を負う個人情報取扱事業者に該当するかが分かりにくいこと等から、本ガイドラインにおいては個人情報取扱事業者としての法令上の義務等を負わない医療・介護関係事業者にも本ガイドラインを遵守する努力を求めるものである。

4.本ガイドラインの対象となる「個人情報」の範囲
 法令上「個人情報」では生存する個人に関する情報であり、個人情報取扱事業者の義務等の対象となるのは、生存する個人に関する情報に限定されている。本ガイドラインは、医療・介護関係事業者が保有する生存する個人に関する情報のうち、医療・介護関係の情報を対象とするものであり、また、診療録等の形態に整理されていない場合でも個人情報に該当する。 なお、当該患者・利用者が死亡した後においても、医療・介護関係事業者が当該患者・利用者の情報を保存している場合には、漏えい、滅失又はき損等の防止のため、個人情報と同等の安全管理措置を講ずるものとする。

5.大臣の権限行使との関係等
 本ガイドライン中、【法の規定により遵守すべき事項等】に記載された内容のうち、医療・介護関係事業者の義務とされている内容を個人情報取扱事業者としての義務を負う医療・介護関係事業者が遵守しない場合、厚生労働大臣は、法第34条の規定に基づき、「勧告」及び「命令」を行うことがある。また、法の適用除外とされている小規模事業者については、努力義務として本ガイドラインの遵守が求められる。 また、法第51条及び「個人情報の保護に関する法律施行令」(平成15年12月10日政令第507号。以下「令」という。)第11条において、法第32条から第34条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、個人情報取扱事業者が行う事業であって当該主務大臣が所管するものについての報告の徴収、検査、勧告等に係る権限に属する事務の全部又は一部が、他の法令の規定により地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととされているときは、当該地方公共団体の長等が法に基づく報告の徴収、助言、勧告及び命令を行うことがある。

6.医療・介護関係事業者が行う措置の透明性の確保と対外的明確化
 法第3条では、個人の人格尊重の理念の下に個人情報を慎重に扱うべきことが指摘されている。 医療・介護関係事業者は、個人情報保護に関する考え方や方針に関する宣言(いわゆる、プライバシーポリシー、プライバシーステートメント等)及び個人情報の取扱いに関する明確かつ適正な規則を策定し、それらを対外的に公表することが求められる。また、患者等から当該本人の個人情報がどのように取り扱われているか等について知りたいという求めがあった場合は、当該規則に基づき、迅速に情報提供を行う等必要な措置を行うものとする。
 個人情報保護に関する考え方や方針に関する宣言の内容としては、医療・介護関係事業者が個人の人格尊重の理念の下に個人情報を取り扱うこと及び関係法令及び本ガイドライン等を遵守すること等、個人情報の取扱いに関する規則においては、個人情報に係る安全管理措置の概要、本人等からの開示等の手続、第三者提供の取扱い、苦情への対応等について具体的に定めることが考えられる。 なお、利用目的等を広く公表することについては、以下のような趣旨があることに留意すべきである。
@ 医療・介護関係事業者で個人情報が利用される意義について患者・利用者等の理解を得ること。
A 医療・介護関係事業者において、法を遵守し、個人情報保護のため積極的に取り組んでいる姿勢を対外的に明らかにすること。

7.責任体制の明確化と患者・利用者窓口の設置等
 医療・介護関係事業者は、個人情報の適正な取扱いを推進し、漏えい等の問題に対処する体制を整備する必要がある。このため、個人情報の取扱いに関し、専門性と指導性を有し、事業者の全体を統括する組織体制・責任体制を構築し、規則の策定や安全管理措置の計画立案等を効果的に実施できる体制を構築するものとする。
 また、患者・利用者等に対しては、受付時、利用開始時に個人情報の利用目的を説明するなど、必要に応じて分かりやすい説明を行う必要があるが、加えて、患者・利用者等が疑問に感じた内容を、いつでも、気軽に問い合わせできる窓口機能等を確保することが重要である
 また、患者・利用者等の相談は、医療・介護サービスの内容とも関連している場合が多いことから、個人情報の取扱いに関し患者・利用者等からの相談や苦情への対応等を行う窓口機能等を整備するとともに、その窓口がサービスの提供に関する相談機能とも有機的に連携した対応が行える体制とするなど、患者・利用者等の立場に立った対応を行う必要がある。 なお、個人情報の利用目的の説明や窓口機能等の整備、開示の求めを受け付ける方法を定める場合等に当たっては、障害のある患者・利用者等にも配慮する必要がある。

8.遺族への診療情報の提供の取扱い
 法は、OECD8原則の趣旨を踏まえ、生存する個人の情報を適用対象とし、個人情報の目的外利用や第三者提供に当たっては本人の同意を得ることを原則としており、死者の情報は原則として個人情報とならないことから、法及び本ガイドラインの対象とはならない。
 しかし、患者・利用者が死亡した際に、遺族から診療経過、診療情報や介護関係の諸記録について照会が行われた場合、医療・介護関係事業者は、患者・利用者本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重しつつ、特段の配慮が求められる。このため、患者・利用者が死亡した際の遺族に対する診療情報の提供については、「診療情報の提供等に関する指針」(「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日医政発第0912001号))の9において定められている取扱いに従って、医療・介護関係事業者は、同指針の規定により遺族に対して診療情報・介護関係の記録の提供を行うものとする。

9.個人情報が研究に活用される場合の取扱い
 近年の科学技術の高度化に伴い、研究において個人の診療情報等や要介護認定情報等を利用する場合が増加しているほか、患者・利用者への診療や介護と平行して研究が進められる場合もある。 法第50条第1項においては、憲法上の基本的人権である「学問の自由」の保障への配慮から、大学その他の学術研究を目的とする機関等が、学術研究の用に供する目的をその全部又は一部として個人情報を取り扱う場合については、法による義務等の規定は適用しないこととされている。従って、この場合には法の運用指針としての本ガイドラインは適用されるものではないが、これらの場合においても、法第50条第3項により、当該機関等は、自主的に個人情報の適正な取扱いを確保するための措置を講ずることが求められており、これに当たっては、医学研究分野の関連指針(別表5参照)とともに本ガイドラインの内容についても留意することが期待される。
  なお、治験及び市販後臨床試験における個人情報の取扱いについては、本ガイドラインのほか、薬事法及び関係法令(「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28号)等)の規定や、関係団体等が定める指針に従うものとする。また、医療機関等が企業から研究を受託して又は共同で実施する場合における個人情報の取扱いについては、本ガイドラインのほか、別表5に掲げる指針や、関係団体等が定める指針に従うものとする。

10.遺伝情報を診療に活用する場合の取扱い
 遺伝学的検査等により得られた遺伝情報については、本人の遺伝子・染色体の変化に基づく体質、疾病の発症等に関する情報が含まれるほか、その血縁者に関わる情報でもあり、その情報は生涯変化しないものであることから、これが漏えいした場合には、本人及び血縁者が被る被害及び苦痛は大きなものとなるおそれがある。したがって、遺伝学的検査等により得られた遺伝情報の取扱いについては、UNESCO国際宣言等(別表6参照)、別表5に掲げる指針及び関係団体等が定める指針を参考とし、特に留意する必要がある。
 また、検査の実施に同意している場合においても、その検査結果が示す意味を正確に理解することが困難であったり、疾病の将来予測性に対してどのように対処すればよいかなど、本人及び家族等が大きな不安を持つ場合が多い。したがって、医療機関等が、遺伝学的検査を行う場合には、臨床遺伝学の専門的知識を持つ者により、遺伝カウンセリングを実施するなど、本人及び家族等の心理社会的支援を行う必要がある。

11.他の法令等との関係
 医療・介護関係事業者は、個人情報の取扱いにあたり、法、基本方針及び本ガイドラインに示す項目のほか、個人情報保護又は守秘義務に関する他の法令等(刑法、関係資格法、介護保険法等)の規定を遵守しなければならない。 また、病院等の管理者の監督義務(医療法第15条)や業務委託(医療法第15条の2等)に係る規定、介護関係事業者における個人情報保護に係る規定等を遵守しなければならない。
 また、医療分野については、すでに「診療情報の提供等に関する指針」が定められている。これは、インフォームド・コンセントの理念等を踏まえ、医療従事者等が診療情報を積極的に提供することにより、医療従事者と患者等とのより良い信頼関係を構築することを目的としており、この目的のため、患者等からの求めにより個人情報である診療情報を開示する場合は、同指針の内容に従うものとする。

12.認定個人情報保護団体における取組
 法第37条においては、個人情報取扱事業者の個人情報の適正な取扱いの確保を目的とする業務を行う法人等は主務大臣の認定を受けて認定個人情報保護団体となることができることとされている。認定個人情報保護団体となる医療・介護関係の団体等は、傘下の医療・介護関係事業者を対象に、個人情報保護に係る普及・啓発を推進するほか、法の趣旨に沿った指針等を自主的なルールとして定めたり、個人情報の取扱いに関する患者・利用者等のための相談窓口を開設するなど、積極的な取組を行うことが期待されている。

U 用語の定義等

1.個人情報(法第2条第1項)
  「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
 「個人に関する情報」は、氏名、性別、生年月日等個人を識別する情報に限られず、個人の身体、財産、職種、肩書き等の属性に関して、事実、判断、評価を表すすべての情報であり、評価情報、公刊物等によって公にされている情報や、映像、音声による情報も含まれ、暗号化されているか否かを問わない。
 また、例えば診療録には、患者について客観的な検査をしたデータもあれば、それに対して医師が行った判断や評価も書かれている。これら全体が患者個人に関する情報に当たるものであるが、あわせて、当該診療録を作成した医師の側からみると、自分が行った判断や評価を書いているものであるので、医師個人に関する情報とも言うことができる。
 したがって、診療録等に記載されている情報の中には、患者と医師等双方の個人情報という二面性を持っている部分もあることに留意が必要である。 なお、死者に関する情報が、同時に、遺族等の生存する個人に関する情報でもある場合には、当該生存する個人に関する情報となる。 本ガイドラインは、医療・介護関係事業者が保有する医療・介護関係個人情報を対象とするものであり、診療録等の形態に整理されていない場合でも個人情報に該当する。
 (例)下記については、記載された氏名、生年月日、その他の記述等により特定の個人を識別することができることから、匿名化されたものを除き、個人情報に該当する。 ↓ (医療・介護関係法令において医療・介護関係事業者に作成・保存が義務づけられている記録例は別表1参照)
○ 医療機関等における個人情報の例 診療録、処方せん、手術記録、助産録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約、調剤録 等
○ 介護関係事業者における個人情報の例 ケアプラン、介護サービス提供にかかる計画、提供したサービス内容等の記録、事故の状況等の記録 等

2.個人情報の匿名化
  当該個人情報から、当該情報に含まれる氏名、生年月日、住所等、個人を識別する情報を取り除くことで、特定の個人を識別できないようにすることをいう。
 顔写真については、一般的には目の部分にマスキングすることで特定の個人を識別できないと考えられる。なお、必要な場合には、その人と関わりのない符号又は番号を付すこともある。 このような処理を行っても、事業者内で医療・介護関係個人情報を利用する場合は、事業者内で得られる他の情報や匿名化に際して付された符号又は番号と個人情報との対応表等と照合することで特定の患者・利用者等が識別されることも考えられる。
 法においては、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの」についても個人情報に含まれるものとされており、匿名化に当たっては、当該情報の利用目的や利用者等を勘案した処理を行う必要があり、あわせて、本人の同意を得るなどの対応も考慮する必要がある。
 また、特定の患者・利用者の症例や事例を学会で発表したり、学会誌で報告したりする場合等は、氏名、生年月日、住所等を消去することで匿名化されると考えられるが、症例や事例により十分な匿名化が困難な場合は、本人の同意を得なければならない。 なお、当該発表等が研究の一環として行われる場合にはT9.に示す取扱いによるものとする。

3.個人情報データベース等(法第2条第2項)、個人データ(法第2条第4項)、保有個人データ(法第2条第5項)
 「個人情報データベース等」とは、特定の個人情報をコンピュータを用いて検索することができるように体系的に構成した個人情報を含む情報の集合体、又はコンピュータを用いていない場合であっても、紙面で処理した個人情報を一定の規則(例えば、五十音順、生年月日順など)に従って整理・分類し、特定の個人情報を容易に検索することができるよう、目次、索引、符号等を付し、他人によっても容易に検索可能な状態においているものをいう。
 「個人データ」とは、「個人情報データベース等」を構成する個人情報をいう。
 「保有個人データ」とは、個人データのうち、個人情報取扱事業者が、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有するものをいう。ただし、@その存否が明らかになることにより、公益その他の利益が害されるもの、A6ヶ月以内に消去する(更新することは除く。)こととなるものは除く。
  診療録等の診療記録や介護関係記録については、媒体の如何にかかわらず個人データに該当する。 また、検査等の目的で、患者から血液等の検体を採取した場合、それらは個人情報に該当し、利用目的の特定等(V1.参照)、利用目的の通知等(V2.参照)等の対象となることから、患者の同意を得ずに、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて検体を取り扱ってはならない。
 また、これらの検査結果については、診療録等と同様に検索可能な状態として保存されることから、個人データに該当し、第三者提供(V5.参照)や開示(V7.参照)の対象となる。

4.本人の同意
 法は、個人情報の目的外利用や個人データの第三者提供の場合には、原則として本人の同意を得ることを求めている。これは、法の基本となるOECD8原則のうち、利用制限の原則の考え方の現れであるが、医療機関等については、患者に適切な医療サービスを提供する目的のために、当該医療機関等において、通常必要と考えられる個人情報の利用範囲を施設内への掲示(院内掲示)により明らかにしておき、患者側から特段明確な反対・留保の意思表示がない場合には、これらの範囲内での個人情報の利用について同意が得られているものと考えられる。(V5.(3)(4)参照)   
 また、患者・利用者が、意識不明ではないものの、本人の意思を明確に確認できない状態の場合については、意識の回復にあわせて、速やかに本人への説明を行い本人の同意を得るものとする。 なお、これらの場合において患者・利用者の理解力、判断力などに応じて、可能な限り患者・利用者本人に通知し、同意を得るよう努めることが重要である。

5.家族等への病状説明
 法においては、個人データを第三者提供する場合には、あらかじめ本人の同意を得ることを原則としている。一方、病態によっては、治療等を進めるに当たり、本人だけでなく家族等の同意を得る必要がある場合もある。
 家族等への病状説明については、「患者(利用者)への医療(介護)の提供に必要な利用目的(V1.(1)参照)と考えられるが、本人以外の者に病状説明を行う場合は、本人に対し、あらかじめ病状説明を行う家族等の対象者を確認し、同意を得ることが望ましい。
 この際、本人から申出がある場合には、治療の実施等に支障の生じない範囲において、現実に患者(利用者)の世話をしている親族及びこれに準ずる者を説明を行う対象に加えたり、家族の特定の人を限定するなどの取扱いとすることができる。
  一方、意識不明の患者の病状や重度の痴呆性の高齢者の状況を家族等に説明する場合は、本人の同意を得ずに第三者提供できる場合と考えられる(V5.(2)A参照)。この場合、医療・介護関係事業者において、本人の家族等であることを確認した上で、治療等を行うに当たり必要な範囲で、情報提供を行うとともに、本人の過去の病歴、治療歴等について情報の取得を行う。本人の意識が回復した際には、速やかに、提供及び取得した個人情報の内容とその相手について本人に説明するとともに、本人からの申出があった場合、取得した個人情報の内容の訂正等、病状の説明を行う家族等の対象者の変更等を行う。 なお、患者の判断能力に疑義がある場合は、意識不明の患者と同様の対応を行うとともに、判断能力の回復にあわせて、速やかに本人への説明を行い本人の同意を得るものとする。

V 医療・介護関係事業者の義務等

1.利用目的の特定等(法第15条、第16条)
 (利用目的の特定) 法第十五条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。

  (利用目的による制限) 法第十六条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。

3 前二項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

(1)利用目的の特定及び制限
 医療・介護関係事業者が医療・介護サービスを希望する患者・利用者から個人情報を取得する場合、当該個人情報を患者・利用者に対する医療・介護サービスの提供、医療・介護保険事務、入退院等の病棟管理などで利用することは患者・利用者にとって明らかと考えられる。 これら以外で個人情報を利用する場合は、患者・利用者にとって必ずしも明らかな利用目的とはいえない。この場合は、個人情報を取得するに当たって明確に当該利用目的の公表等の措置が講じられなければならない。(V2.参照) 医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される利用目的は別表2に例示されるものであり、医療・介護関係事業者は、これらを参考として、自らの業務に照らして通常必要とされるものを特定して公表(院内掲示等)しなければならない。(V2.参照) また、別表2に掲げる利用目的の範囲については、法第15条第2項に定める利用目的の変更を行うことができると考えられる。ただし、変更された利用目的については、本人へ通知又は公表しなければならない。(V2.参照)

(2)利用目的による制限の例外
  医療・介護関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで法第15条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないが(法第16条第1項)、同条第3項に掲げる場合については、本人の同意を得る必要はない。具体的な例としては以下のとおりである。

@ 法令に基づく場合
 医療法に基づく立入検査、介護保険法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、児童虐待の防止等に関する法律に基づく児童虐待に係る通告等、法令に基づいて個人情報を利用する場合であり、医療・介護関係事業者の通常の業務で想定される主な事例は別表3のとおりである。
 根拠となる法令の規定としては、一般に刑事訴訟法第218条(令状による捜査)、地方税法第72条の63(個人の事業税に係る質問検査権、各種税法に類似の規定あり)等が考えられる。
 これらの法令は強制力を伴って回答が義務づけられるため、医療・介護関係事業者は捜査等が行われた場合、回答する義務が生じる。 また、刑事訴訟法第197条第2項(捜査に必要な取調べ)等については、法の例外規定の対象であるが、当該法令において任意協力とされており、医療・介護関係事業者は取調べ等が行われた場合、回答するか否かについて個別の事例ごとに判断する必要がある。この場合、本人の同意を得ずに個人情報の提供を行ったとしても、法第16条違反とはならないが、場合によっては、当該本人からの民法に基づく損害賠償請求等を求められるおそれがある。

A 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例) ・意識不明で身元不明の患者について、関係機関へ照会する場合 ・意識不明の患者の病状や重度の痴呆性の高齢者の状況を家族等に説明する場合

B 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例) ・健康増進法に基づく地域がん登録事業による国又は地方公共団体への情報提供 ・がん検診の精度管理のための地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検診機関に対する精密検査結果の情報提供 ・児童虐待事例についての関係機関との情報交換 ・医療安全の向上のため、院内で発生した医療事故等に関する国、地方公共団体又は第三者機関等への情報提供のうち、氏名等の情報が含まれる場合

C 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
(例) ・国等が実施する、統計報告調整法の規定に基づく統計報告の徴集(いわゆる承認統計調査)及び統計法第8条の規定に基づく指定統計以外の統計調査(いわゆる届出統計調査)に協力する場合

 【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、個人情報を取り扱うに当たって、その利用目的をできる限り特定しなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。
・ 医療・介護関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならない。なお、本人の同意を得るために個人情報を利用すること(同意を得るために患者・利用者の連絡先を利用して電話をかける場合など)、個人情報を匿名化するために個人情報に加工を行うことは差し支えない。
・ 個人情報を取得する時点で、本人の同意があったにもかかわらず、その後、本人から利用目的の一部についての同意を取り消す旨の申出があった場合は、その後の個人情報の取扱いについては、本人の同意が取り消されなかった範囲に限定して取り扱う

編者注: 例えばリコールハガキの送付などにおいて、本人から不要の申し出があった場合には、リコールハガキへの利用といった使用方法には不同意と解することができるので、その後リコールハガキの送付などは行えない?のであろう。

・ 医療・介護関係事業者は、合併その他の事由により他の事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
・ 利用目的の制限の例外
(法第16条第3項)に該当する場合は、本人の同意を得ずに個人情報を取り扱うことができる。 (利用目的を変更する場合の取扱いについてはV2.を参照)

【その他の事項】
・ 利用目的の制限の例外に該当する「法令に基づく場合」等であっても、利用目的以外の目的で個人情報を取り扱う場合は、当該法令等の趣旨をふまえ、その取り扱う範囲を真に必要な範囲に限定することが求められる。
・ 患者が未成年者等の場合、法定代理人等の同意を得ることで足りるが、一定の判断能力を有する未成年者等については、法定代理人等の同意にあわせて本人の同意を得る。 ・意識不明の患者や重度の痴呆性の高齢者などで法定代理人がいない場合で、緊急に診療が必要な場合については、上記(2)Aに該当し、当該本人の個人情報を取り扱うことができる。

2.利用目的の通知等(法第18条)
(取得に際しての利用目的の通知等)
  法第十八条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。

3 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。

4 前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
三 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、個人情報を取得するに当たって、あらかじめその利用目的を公表しておくか、個人情報を取得した場合、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
・ 利用目的の公表方法としては、院内や事業所内等に掲示するとともに、可能な場合にはホームページへの掲載等の方法により、なるべく広く公表する必要がある。
・ 医療・介護関係事業者は、受付で患者に保険証を提出してもらう場合や問診票の記入を求める場合など、本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を院内掲示等により明示しなければならない。ただし、救急の患者で緊急の処置が必要な場合等は、この限りでない。
・ 医療・介護関係事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
・ 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合など利用目的の通知等の例外に該当する場合は、上記内容は適用しない。(「利用目的が明らか」な場合についてはV1.(1)を参照)

【その他の事項】
・ 利用目的が、本規定の例外である「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当する場合であっても、患者・利用者等に利用目的をわかりやすく示す観点から、利用目的の公表に当たっては、当該利用目的についても併せて記載する。
・ 院内や事業所内等への掲示に当たっては、受付の近くに当該内容を説明した表示を行い、初回の患者・利用者等に対しては、受付時や利用開始時において当該掲示についての注意を促す。
・ 初診時や入院・入所時等における説明だけでは、個人情報について十分な理解ができない患者・利用者も想定されることから、患者・利用者が落ち着いた時期に改めて説明を行ったり、診療計画書、療養生活の手引き、訪問介護計画等のサービス提供に係る計画等に個人情報に関する取扱いを記載するなど、患者・利用者が個人情報の利用目的を理解できるよう配慮する。
・ 患者・利用者等の希望がある場合、詳細の説明や当該内容を記載した書面の交付を行う。

3.個人情報の適正な取得、個人データ内容の正確性の確保(法第17条、第19条)
(適正な取得)
法第十七条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

(データ内容の正確性の確保)
法第十九条 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、偽りその他の不正の手段により個人情報を取得してはならない。
・ 診療等のために必要な過去の受診歴等については、真に必要な範囲について、本人から直接取得するほか、第三者提供について本人の同意を得た者(V5.(3)により本人の黙示の同意が得られていると考えられる者を含む)から取得することを原則とする。ただし、本人以外の家族等から取得することが診療上又は適切な介護サービスの提供上やむを得ない場合はこの限りでない。
・ 親の同意なく、十分な判断能力を有していない子どもから家族の個人情報を取得してはならない。ただし、当該子どもの診療上、家族等の個人情報の取得が必要な場合で、当該家族等から個人情報を取得することが困難な場合はこの限りではない。
・ 医療・介護関係事業者は、適正な医療・介護サービスを提供するという利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努めなければならない。 【その他の事項】 ・第三者提供により他の医療・介護関係事業者から個人情報を取得したとき、当該個人情報の内容に疑義が生じた場合には、記載内容の事実に関して本人又は情報の提供を行った者に確認をとる。
・ 医療・介護関係事業者は、個人データの内容の正確性、最新性を確保するため、V4.(2)Aに示す委員会等において、具体的なルールを策定したり、技術水準向上のための研修の開催などを行うことが望ましい。

4.安全管理措置、従業者の監督及び委託先の監督(法第20条〜第22条)
(安全管理措置)
法第二十条 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

(従業者の監督)
法第二十一条 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(委託先の監督)
法第二十二条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(1)医療・介護関係事業者が講ずるべき安全管理措置
@ 安全管理措置 医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のため、組織的、人的、物理的、及び技術的安全管理措置を講じなければならない。その際、本人の個人データが漏えい、滅失又はき損等をした場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、事業の性質及び個人データの取扱い状況等に起因するリスクに応じ、必要かつ適切な措置を講ずるものとする。なお、その際には、個人データを記録した媒体の性質に応じた安全管理措置を講ずる。

A 従業者の監督 医療・介護関係事業者は、@の安全管理措置を遵守させるよう、従業者に対し必要かつ適切な監督をしなければならない。なお、「従業者」とは、医療資格者のみならず、当該事業者の指揮命令を受けて業務に従事する者すべてを含むものであり、また、雇用関係のある者のみならず、理事、派遣労働者等も含むものである。 医療法第15条では、病院等の管理者は、その病院等に勤務する医師等の従業者の監督義務が課せられている。(薬局や介護関係事業者についても、薬事法や介護保険法に基づく「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」及び「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「指定基準」という。)等に同様の規定あり。)

(2)安全管理措置として考えられる事項 医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの重要性にかんがみ、個人データの漏えい、滅失またはき損の防止その他の安全管理のため、その規模、従業者の様態等を勘案して、以下に示すような取組を参考に、必要な措置を行うものとする。
 また、同一事業者が複数の施設を開設する場合、当該施設間の情報交換については第三者提供に該当しないが、各施設ごとに安全管理措置を講ずるなど、個人情報の利用目的を踏まえた個人情報の安全管理を行う。
@ 個人情報保護に関する規程の整備、公表 ・医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示手順を定めた規程その他個人情報保護に関する規程を整備し、苦情への対応を行う体制も含めて、院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載を行うなど、患者・利用者等に対して周知徹底を図る。 ・また、個人データを取り扱う情報システムの安全管理措置に関する規程等についても同様に整備を行うこと。

A 個人情報保護推進のための組織体制等の整備 ・従業者の責任体制の明確化を図り、具体的な取組を進めるため、医療における個人情報保護に関し十分な知識を有する管理者、監督者等を定めたり、個人情報保護の推進を図るための委員会等を設置する。 ・医療・介護関係事業所で行っている個人データの安全管理措置について定期的に自己評価を行い、見直しや改善を行うべき事項について適切な改善を行う。

B 個人データの漏えい等の問題が発生した場合等における報告連絡体制の整備
(1)個人データの漏えい等の事故が発生した場合、又は発生の可能性が高いと判断した場合
(2)個人データの取扱いに関する規程等に違反している事実が生じた場合、又は兆候が高いと判断した場合
における責任者等への報告連絡体制の整備を行う。
・ 個人データの漏えい等の情報は、苦情等の一環として、外部から報告される場合も想定されることから、苦情への対応を行う体制との連携も図る。(V10.参照)

C 雇用契約時における個人情報保護に関する規程の整備 ・雇用契約や就業規則において、就業期間中はもとより離職後も含めた守秘義務を課すなど従業者の個人情報保護に関する規程を整備し、徹底を図る。なお、特に、医師等の医療資格者や介護サービスの従業者については、刑法、関係資格法又は介護保険法に基づく指定基準により守秘義務規定等が設けられており(別表4)、その遵守を徹底する。

D 従業者に対する教育研修の実施
・ 取り扱う個人データの適切な保護が確保されるよう、従業者に対する教育研修の実施等により、個人データを実際の業務で取り扱うこととなる従業者の啓発を図り、従業者の個人情報保護意識を徹底する。
・ この際、派遣労働者についても、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)において、「必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めなければならない」とされていることを踏まえ、個人情報の取扱いに係る教育研修の実施に配慮する必要がある。

E 物理的安全管理措置
・ 個人データの盗難・紛失等を防止するため、以下のような物理的安全管理措置を行う。
−入退館(室)管理の実施
−盗難等に対する予防対策の実施
−機器、装置等の固定など物理的な保護

F 技術的安全管理措置
・ 個人データの盗難・紛失等を防止するため、個人データを取り扱う情報システムについて以下のような技術的安全管理措置を行う。
−個人データに対するアクセス管理(IDやパスワード等による認証、各職員の業務内容に応じて業務上必要な範囲にのみアクセスできるようなシステム構成の採用等)
−個人データに対するアクセス記録の保存
−個人データに対するファイアウォールの設置

G個人データの保存
・ 個人データを長期にわたって保存する場合には、保存媒体の劣化防止など個人データが消失しないよう適切に保存する。
・ 個人データの保存に当たっては、本人からの照会等に対応する場合など必要なときに迅速に対応できるよう、インデックスの整備など検索可能な状態で保存しておく。

H 不要となった個人データの廃棄、消去 ・不要となった個人データを廃棄する場合には、焼却や溶解など、個人データを復元不可能な形にして廃棄する。
・ 個人データを取り扱った情報機器を廃棄する場合は、記憶装置内の個人データを復元不可能な形に消去して廃棄する。
・ これらの廃棄業務を委託する場合には、個人データの取扱いについても委託契約において明確に定める。

編者注: 以下はカルテの廃棄を専門業者に委託する場合などが該当するので要注意。

(3)業務を委託する場合の取扱い
@ 委託先の監督 医療・介護関係事業者は、検査や診療報酬又は介護報酬の請求に係る事務等個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、法第20条に基づく安全管理措置を遵守させるよう受託者に対し、必要かつ適切な監督をしなければならない。 「必要かつ適切な監督」には、委託契約において委託者である事業者が定める安全管理措置の内容を契約に盛り込み受託者の義務とするほか、業務が適切に行われていることを定期的に確認することなども含まれる。 また、業務が再委託された場合で、再委託先が不適切な取扱いを行ったことにより、問題が生じた場合は、医療・介護関係事業者や再委託した事業者が責めを負うこともあり得る。

A 業務を委託する場合の留意事項
 医療・介護関係事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合、以下の事項に留意すべきである。
・ 個人情報を適切に取り扱っている事業者を委託先(受託者)として選定する
・ 契約において、個人情報の適切な取扱いに関する内容を盛り込む(委託期間中のほか、委託終了後の個人データの取扱いも含む。)
・ 受託者が、委託を受けた業務の一部を再委託することを予定している場合は、再委託を受ける事業者の選定において個人情報を適切に取り扱っている事業者が選定されるとともに、再委託先事業者が個人情報を適切に取り扱っていることが確認できるよう契約において配慮する ・受託者が個人情報を適切に取り扱っていることを定期的に確認する
・ 受託者における個人情報の取扱いに疑義が生じた場合(患者・利用者等からの申出があり、確認の必要があると考えられる場合を含む。)には、受託者に対し、説明を求め、必要に応じ改善を求める等適切な措置をとる
* 医療機関等における業者委託に関する関連通知等
 上記の留意事項のほか、委託する業務に応じ、関連する通知等を遵守する。
・ 「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成5年2月15日健政発第98号)の「第3 業務委託に関する事項」
・ 「病院、診療所等の業務委託について」(平成5年2月15日指第14号)

(4)医療情報システムの導入及びそれに伴う情報の外部保存を行う場合の取扱い
 医療機関等において、医療情報システムを導入したり、診療情報の外部保存を行う場合には、厚生労働省が別途定める指針によることとし、各医療機関等において運営及び委託等の取扱いについて安全性が確保されるよう規程を定め、実施するものとする。

(5)個人情報の漏えい等の問題が発生した場合における二次被害の防止等
個人情報の漏えい等の問題が発生した場合には、二次被害の防止、類似事案の発生回避等の観点から、個人情報の保護に配慮しつつ、可能な限り事実関係を公表するとともに、都道府県の所管課等に速やかに報告する。

(6)その他 受付での呼び出しや、病室における患者の名札の掲示などについては、患者の取り違え防止など業務を適切に実施する上で必要と考えられるが、医療におけるプライバシー保護の重要性にかんがみ、患者の希望に応じて一定の配慮をすることが望ましい

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

【その他の事項】
・ 医療・介護関係事業者は、安全管理措置に関する取組を一層推進するため、安全管理措置が適切であるかどうかを一定期間ごとに検証するほか、必要に応じて外部機関による検証を受けることで、改善を図ることが望ましい。

5.個人データの第三者提供(法第23条)
(第三者提供の制限)
法第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

2 個人情報取扱事業者は、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、次に掲げる事項について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているときは、前項の規定にかかわらず、当該個人データを第三者に提供することができる。
一 第三者への提供を利用目的とすること。
二 第三者に提供される個人データの項目
三 第三者への提供の手段又は方法
四 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること。

3 個人情報取扱事業者は、前項第二号又は第三号に掲げる事項を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

4 次に掲げる場合において、当該個人データの提供を受ける者は、前三項の規定の適用については、第三者に該当しないものとする。
一 個人情報取扱事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合
二 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人データが提供される場合
三 個人データを特定の者との間で共同して利用する場合であって、その旨並びに共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置いているとき。

5 個人情報取扱事業者は、前項第三号に規定する利用する者の利用目的又は個人データの管理について責任を有する者の氏名若しくは名称を変更する場合は、変更する内容について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければならない。

(1)第三者提供の取扱い 医療・介護関係事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならないとされており、次のような場合には、本人の同意を得る必要がある。

編者注: 自賠責保険治療などの時は注意。

(例) ・民間保険会社からの照会 患者が民間の生命保険に加入しようとする場合、生命保険会社から患者の健康状態等について照会があった場合、患者の同意を得ずに患者の現在の健康状態や既往歴等を回答してはならない。
 交通事故によるけがの治療を行っている患者に関して、保険会社から損害保険金の支払いの審査のために必要であるとして症状に関する照会があった場合、患者の同意を得ずに患者の症状等を回答してはならない。
・ 職場からの照会
 職場の上司等から、社員の病状に関する問い合わせがあったり、休職中の社員の職場復帰の見込みに関する問い合わせがあった場合、患者の同意を得ずに患者の病状や回復の見込み等を回答してはならない。
・ 学校からの照会
学校の教職員等から、児童・生徒の健康状態に関する問い合わせがあったり、休学中の児童・生徒の復学の見込みに関する問い合わせがあった場合、患者の同意を得ずに患者の健康状態や回復の見込み等を回答してはならない。
・ マーケティング等を目的とする会社等からの照会
健康食品の販売を目的とする会社から、高血圧の患者の存在の有無について照会された場合や要件に該当する患者を紹介して欲しい旨の依頼があった場合、患者の同意を得ずに患者の有無や該当する患者の氏名・住所等を回答してはならない。

(2)第三者提供の例外
ただし、次に掲げる場合については、本人の同意を得る必要はない。
@ 法令に基づく場合 医療法に基づく立入検査、介護保険法に基づく不正受給者に係る市町村への通知、児童虐待の防止等に関する法律に基づく児童虐待に係る通告等、法令に基づいて個人情報を利用する場合であり、医療機関等の通常の業務で想定される主な事例は別表3のとおりである。(V1.(2)@参照)

A 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例) ・意識不明で身元不明の患者について、関係機関へ照会する場合 ・意識不明の患者の病状や重度の痴呆性の高齢者の状況を家族等に説明する場合
※なお、「本人の同意を得ることが困難であるとき」には、本人に同意を求めても同意しない場合、本人に同意を求める手続を経るまでもなく本人の同意を得ることができない場合等が含まれるものである。

B 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
(例) ・ 健康増進法に基づく地域がん登録事業による国又は地方公共団体への情報提供
・ がん検診の精度管理のための地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検診機関に対する精密検査結果の情報提供
・ 児童虐待事例についての関係機関との情報交換 ・医療安全の向上のため、院内で発生した医療事故等に関する国、地方公共団体又は第三者機関等への情報提供のうち、氏名等の情報が含まれる場合

C 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
(例) ・ 国等が実施する、統計報告調整法の規定に基づく統計報告の徴集(いわゆる承認統計調査)及び統計法第8条の規定に基づく指定統計以外の統計調査(いわゆる届出統計調査)に協力する場合

(3)本人の同意が得られていると考えられる場合
 医療機関の受付等で診療を希望する患者は、傷病の回復等を目的としている。一方、医療機関等は、患者の傷病の回復等を目的として、より適切な医療が提供できるよう治療に取り組むとともに、必要に応じて他の医療機関と連携を図ったり、当該傷病を専門とする他の医療機関の医師等に指導、助言等を求めることも日常的に行われる。また、その費用を公的医療保険に請求する場合等、患者の傷病の回復等そのものが目的ではないが、医療の提供には必要な利用目的として提供する場合もある。このため、第三者への情報の提供のうち、患者の傷病の回復等を含めた患者への医療の提供に必要であり、かつ、個人情報の利用目的として院内掲示等により明示されている場合は、原則として黙示による同意が得られているものと考えられる。
 なお、傷病の内容によっては、患者の傷病の回復等を目的とした場合であっても、個人データを第三者提供する場合は、あらかじめ本人の明確な同意を得るよう求めがある場合も考えられ、その場合、医療機関等は、本人の意思に応じた対応を行う必要がある。

@ 患者への医療の提供のために通常必要な範囲の利用目的について、院内掲示等で公表しておくことによりあらかじめ包括的な同意を得る場合 医療機関の受付等で、診療を希望する患者から個人情報を取得した場合、それらが患者自身の医療サービスの提供のために利用されることは明らかである。このため、院内掲示等により公表して、患者に提供する医療サービスに関する利用目的について患者から明示的に留保の意思表示がなければ、患者の黙示による同意があったものと考えられる。(V2.参照) また、
(ア) 患者への医療の提供のため、他の医療機関等との連携を図ること
(イ) 患者への医療の提供のため、外部の医師等の意見・助言を求めること
(ウ) 患者への医療の提供のため、他の医療機関等からの照会があった場合にこれに応じること
(エ) 患者への医療の提供に際して、家族等への病状の説明を行うこと 等が利用目的として特定されている場合は、これらについても患者の同意があったものと考えられる。

A この場合であっても、黙示の同意があったと考えられる範囲は、患者のための医療サービスの提供に必要な利用の範囲であり、別表2の「患者への医療の提供に必要な利用目的」を参考に各医療機関等が示した利用目的に限られるものとする。
なお、院内掲示等においては、
(ア) 患者は、医療機関等が示す利用目的の中で同意しがたいものがある場合には、その事項について、あらかじめ本人の明確な同意を得るよう医療機関等に求めることができること。
(イ) 患者が、(ア)の意思表示を行わない場合は、公表された利用目的について患者の同意が得られたものとすること。
(ウ) 同意及び留保は、その後、患者からの申出により、いつでも変更することが可能であること。 をあわせて掲示するものとする。
※上記@の(ア)〜(エ)の具体例 (例)
・ 他の医療機関宛に発行した紹介状等を本人が持参する場合
医療機関等において他の医療機関等への紹介状、処方せん等を発行し、当該書面を本人が他の医療機関等に持参した場合、当該第三者提供については、本人の同意があったものと考えられ、当該書面の内容に関し、医療機関等との間での情報交換を行うことについて同意が得られたものと考えられる。
・ 他の医療機関等からの照会に回答する場合 診療所Aを過去に受診したことのある患者が、病院Bにおいて現に受診中の場合で、病院Bから診療所Aに対し過去の診察結果等について照会があった場合、病院Bの担当医師等が受診中の患者から同意を得ていることが確認できれば、診療所Aは自らが保有する診療情報の病院Bへの提供について、患者の同意が得られたものと考えられる。
・ 家族等への病状説明
 病態等について、本人と家族等に対し同時に説明を行う場合には、明示的に本人の同意を得なくても、その本人と同時に説明を受ける家族等に対する診療情報の提供について、本人の同意が得られたものと考えられる。

B 医療機関等が、労働安全衛生法第66条、健康保険法第150条、国民健康保険法第82条又は老人保健法第20条により、事業者、保険者又は市町村が行う健康診断等を受託した場合、その結果である労働者等の個人データを委託元である当該事業者、保険者又は市町村に対して提供することについて、本人の同意が得られていると考えられる。

C 介護関係事業者については、介護保険法に基づく指定基準において、サービス担当者会議等で利用者の個人情報を用いる場合には利用者の同意を、利用者の家族の個人情報を用いる場合には家族の同意を、あらかじめ文書により得ておかなければならないとされていることを踏まえ、事業所内への掲示によるのではなく、サービス利用開始時に適切に利用者から文書により同意を得ておくことが必要である。

(4)「第三者」に該当しない場合
@ 他の事業者等への情報提供であるが、「第三者」に該当しない場合 法第23条第4項の各号に掲げる場合の当該個人データの提供を受ける者については、第三者に該当せず、本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができる。医療・介護関係事業者における具体的事例は以下のとおりである。
・ 検査等の業務を委託する場合
・ 外部監査機関への情報提供((財)日本医療機能評価機構が行う病院機能評価等)
・ 個人データを特定の者との間で共同して利用するとして、あらかじめ本人に通知等している場合
※個人データの共同での利用における留意事項 病院と訪問看護ステーションが共同で医療サービスを提供している場合など、あらかじめ個人データを特定の者との間で共同して利用することが予定されている場合、
(ア) 共同して利用される個人データの項目、
(イ) 共同利用者の範囲(個別列挙されているか、本人から見てその範囲が明確となるように特定されている必要がある)、
(ウ) 利用する者の利用目的、
(エ) 当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称、をあらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態においておくとともに、共同して利用することを明らかにしている場合には、当該共同利用者は第三者に該当しない。
 この場合、(ア)、(イ)については変更することができず、(ウ)、(エ)については、本人が想定することが困難でない範囲内で変更することができ、変更する場合は、本人に通知又は本人の容易に知り得る状態におかなければならない。

A 同一事業者内における情報提供であり、第三者に該当しない場合 同一事業者内で情報提供する場合は、当該個人データを第三者に提供したことにはならないので、本人の同意を得ずに情報の提供を行うことができる。
医療・介護関係事業者における具体的事例は以下のとおりである。
・ 病院内の他の診療科との連携など当該医療・介護関係事業者内部における情報の交換
・ 同一事業者が開設する複数の施設間における情報の交換
・ 当該事業者の職員を対象とした研修での利用(特定し、公表した利用目的との関係で、目的外利用として所要の措置を行う必要があり得る)
・ 当該事業者内で経営分析を行うための情報の交換 このうち、医療・介護関係事業者内部の研修で診療録や介護関係記録等を利用する場合には、具体的な利用方法を含め、あらためて本人の同意を得るか、個人が特定されないよう匿名化する。

(5)その他留意事項
・ 他の事業者への情報提供に関する留意事項 第三者提供を行う場合のほか、他の事業者への情報提供であっても、
@ 法令に基づく場合など第三者提供の例外に該当する場合、
A 「第三者」に該当しない場合、
B 個人が特定されないように匿名化して情報提供する場合などにおいては、
 本来必要とされる情報の範囲に限って提供すべきであり、情報提供する上で必要とされていない事項についてまで他の事業者に提供することがないようにすべきである。 特に、医療事故等に関する情報提供に当たっては、患者・利用者及び家族等の意思を踏まえ、報告において氏名等が必要とされる場合を除き匿名化(U2.参照)を行う。
 また、医療事故発生直後にマスコミへの公表を行う場合等については、匿名化する場合であっても本人又は家族等の同意を得るよう努めるものとする。 (適切ではない例) ・医師及び薬剤師が製薬企業のMR(医薬品情報担当者)、医薬品卸業者のMS(医薬品販売担当者)等との間で医薬品の投薬効果などについて情報交換を行う場合に、必要でない氏名等の情報を削除せずに提供すること。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者においては、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。なお、(2)の本人の同意を得る必要がない場合に該当する場合には、本人の同意を得る必要はない。
・ 個人データの第三者提供について本人の同意があった場合で、その後、本人から第三者提供の範囲の一部についての同意を取り消す旨の申出があった場合は、その後の個人データの取扱いについては、本人の同意のあった範囲に限定して取り扱うものとする。

【その他の事項】
・第三者提供に該当しない情報提供が行われる場合であっても、院内や事業所内等への掲示、ホームページ等により情報提供先をできるだけ明らかにするとともに、患者・利用者等からの問い合わせがあった場合に回答できる体制を確保する。
・ 例えば、業務委託の場合、当該医療・介護関係事業者において委託している業務の内容、委託先事業者、委託先事業者との間での個人情報の取扱いに関する取り決めの内容等について公開することが考えられる。

6.保有個人データに関する事項の公表等(法第24条)
(保有個人データに関する事項の公表等)
法第二十四条 個人情報取扱事業者は、保有個人データに関し、次に掲げる事項について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)に置かなければならない。
一  当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称
二  すべての保有個人データの利用目的(第十八条第四項第一号から第三号までに該当する場合を除く。)
三  次項、次条第一項、第二十六条第一項又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による求めに応じる手続(第三十条第二項の規定により手数料の額を定めたときは、その手数料の額を含む。)
四  前三号に掲げるもののほか、保有個人データの適正な取扱いの確保に関し必要な事項として政令で定めるもの

2 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、これを通知しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 前項の規定により当該本人が識別される保有個人データの利用目的が明らかな場合
二 第十八条第四項第一号から第三号までに該当する場合

3 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの利用目的を通知しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

(保有個人データの適正な取扱いの確保に関し必要な事項)
 令第五条 法第二十四条第一項第四号の政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 当該個人情報取扱事業者が行う保有個人データの取扱いに関する苦情の申出先
二 当該個人情報取扱事業者が認定個人情報保護団体の対象事業者である場合にあっては、当該認定個人情報保護団体の名称及び苦情の解決の申出先

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、保有個人データに関し、
(ア) 当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称、
(イ) すべての保有個人データの利用目的(法第18条第4項第1号から第3号までに規定された例外の場合を除く)、
(ウ) 保有個人データの利用目的の通知、開示、訂正、利用停止等の手続の方法、及び保有個人データの利用目的の通知又は開示に係る手数料の額、
(エ) 苦情の申出先等について、本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む)に置かなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたときは、上記の措置により利用目的が明らかになっている場合及び法第18条第4項第1号から第3号までの例外に相当する場合を除き、遅滞なく通知しなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、利用目的の通知をしない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
・ 法施行前から保有している個人情報についても同様の取扱いを行う。

【その他の事項】
・ 医療・介護関係事業者は、保有個人データについて、その利用目的、開示、訂正、利用停止等の手続の方法及び利用目的の通知又は開示に係る手数料の額、苦情の申出先等について、少なくとも院内や事業所内等への掲示、さらにホームページ等によりできるだけ明らかにするとともに、患者・利用者等からの要望により書面を交付したり、問い合わせがあった場合に具体的内容について回答できる体制を確保する。

7.本人からの求めによる保有個人データの開示(法第25条)
(開示)
 法第二十五条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示(当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨を知らせることを含む。以下同じ。)を求められたときは、本人に対し、政令で定める方法により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。
 ただし、開示することにより次の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
一 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
三 他の法令に違反することとなる場合 2 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部又は一部について開示しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

3 他の法令の規定により、本人に対し第一項本文に規定する方法に相当する方法により当該本人が識別される保有個人データの全部又は一部を開示することとされている場合には、当該全部又は一部の保有個人データについては、同項の規定は、適用しない。

(個人情報取扱事業者が保有個人データを開示する方法)
令第六条 法第二十五条第一項の政令で定める方法は、書面の交付による方法(開示の求めを行った者が同意した方法があるときは、当該方法)とする。

(1)開示の原則
医療・介護関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、書面の交付による方法等により、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。

(2)開示の例外
開示することで、法第25条第1項の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。具体的事例は以下のとおりである。 (例) ・患者・利用者の状況等について、家族や患者・利用者の関係者が医療・介護サービス従事者に情報提供を行っている場合に、これらの者の同意を得ずに患者・利用者自身に当該情報を提供することにより、患者・利用者と家族や患者・利用者の関係者との人間関係が悪化するなど、これらの者の利益を害するおそれがある場合 ・症状や予後、治療経過等について患者に対して十分な説明をしたとしても、患者本人に重大な心理的影響を与え、その後の治療効果等に悪影響を及ぼす場合
※個々の事例への適用については個別具体的に慎重に判断することが必要である。また、保有個人データである診療情報の開示に当たっては、「診療情報の提供等に関する指針」の内容にも配慮する必要がある。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの開示を求められたときは、本人に対し、遅滞なく、当該保有個人データを開示しなければならない。また、当該本人が識別される保有個人データが存在しないときにその旨知らせることとする。ただし、開示することにより、法第25条第1項の各号のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
・ U1.に記したとおり、例えば診療録の情報の中には、患者の保有個人データであって、当該診療録を作成した医師の保有個人データでもあるという二面性を持つ部分が含まれるものの、そもそも診療録全体が患者の保有個人データであることから、患者本人から開示の求めがある場合に、その二面性があることを理由に全部又は一部を開示しないことはできない。ただし、法第25条第1項の各号のいずれかに該当する場合には、法に従い、その全部又は一部を開示しないことができる。
・ 開示の方法は、書面の交付又は求めを行った者が同意した方法による。
・ 医療・介護関係事業者は、求められた保有個人データの全部又は一部について開示しない旨を決定したときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、本人に通知する場合には、本人に対してその理由を説明するよう努めなければならない(V10.参照)。
・ 他の法令の規定により、保有個人データの開示について定めがある場合には、当該法令の規定によるものとする。

【その他の事項】
・ 法定代理人等、開示の求めを行い得る者から開示の求めがあった場合、原則として患者・利用者本人に対し保有個人データの開示を行う旨の説明を行った後、法定代理人等に対して開示を行うものとする。
・ 医療・介護関係事業者は、保有個人データの全部又は一部について開示しない旨決定した場合、本人に対するその理由の説明に当たっては、文書により示すことを基本とする。また、苦情への対応を行う体制についても併せて説明することが望ましい。

8.訂正及び利用停止(法第26条、第27条)
(訂正等)
法第二十六条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データの内容が事実でないという理由によって当該保有個人データの内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、その内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づき、当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、前項の規定に基づき求められた保有個人データの内容の全部若しくは一部について訂正等を行ったとき、又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知しなければならない。

(利用停止等)
法第二十七条 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第十六条の規定に違反して取り扱われているという理由又は第十七条の規定に違反して取得されたものであるという理由によって、当該保有個人データの利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、違反を是正するために必要な限度で、遅滞なく、当該保有個人データの利用停止等を行わなければならない。ただし、当該保有個人データの利用停止等に多額の費用を要する場合その他の利用停止等を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。

2 個人情報取扱事業者は、本人から、当該本人が識別される保有個人データが第二十三条第一項の規定に違反して第三者に提供されているという理由によって、当該保有個人データの第三者への提供の停止を求められた場合であって、その求めに理由があることが判明したときは、遅滞なく、当該保有個人データの第三者への提供を停止しなければならない。ただし、当該保有個人データの第三者への提供の停止に多額の費用を要する場合その他の第三者への提供を停止することが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。 3 個人情報取扱事業者は、第一項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について利用停止等を行ったとき若しくは利用停止等を行わない旨の決定をしたとき、又は前項の規定に基づき求められた保有個人データの全部若しくは一部について第三者への提供を停止したとき若しくは第三者への提供を停止しない旨の決定をしたときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、法第26条、第27条第1項又は第2項の規定に基づき、本人から、保有個人データの訂正等、利用停止等、第三者への提供の停止を求められた場合で、それらの求めが適正であると認められるときは、これらの措置を行わなければならない。
・ ただし、利用停止等及び第三者への提供の停止については、利用停止等に多額の費用を要する場合など当該措置を行うことが困難な場合であって、本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとるときは、この限りでない。
・ なお、以下の場合については、これらの措置を行う必要はない。
@ 訂正等の求めがあった場合であっても、
(ア) 利用目的から見て訂正等が必要でない場合、
(イ) 誤りである指摘が正しくない場合又は
(ウ) 訂正等の対象が事実でなく評価に関する情報である場合

A 利用停止等、第三者への提供の停止の求めがあった場合であっても、手続違反等の指摘が正しくない場合
・ 医療・介護関係事業者は、上記の措置を行ったとき、又は行わない旨を決定したときは、本人に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。また、本人に通知する場合には、本人に対してその理由を説明するよう努めなければならない(V10.参照)。

【その他の事項】
・ 医療・介護関係事業者は、訂正等、利用停止等又は第三者への提供の停止が求められた保有個人データの全部又は一部について、これらの措置を行わない旨決定した場合、本人に対するその理由の説明に当たっては、文書により示すことを基本とする。その際は、苦情への対応を行う体制についても併せて説明することが望ましい。
・ 保有個人データの訂正等にあたっては、訂正した者、内容、日時等が分かるように行われなければならない。
・ 保有個人データの字句などを不当に変える改ざんは、行ってはならない。

9.開示等の求めに応じる手続及び手数料(法第29条、第30条)
(開示等の求めに応じる手続)
法第二十九条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第二項、第二十五条第一項、第二十六条第一項又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による求め(以下この条において「開示等の求め」という。)に関し、政令で定めるところにより、その求めを受け付ける方法を定めることができる。この場合において、本人は、当該方法に従って、開示等の求めを行わなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、本人に対し、開示等の求めに関し、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができる。この場合において、個人情報取扱事業者は、本人が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した適切な措置をとらなければならない。

3 開示等の求めは、政令で定めるところにより、代理人によってすることができる

4 個人情報取扱事業者は、前三項の規定に基づき開示等の求めに応じる手続を定めるに当たっては、本人に過重な負担を課するものとならないよう配慮しなければならない。

(手数料)
法第三十条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第二項の規定による利用目的の通知又は第二十五条第一項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。

個人情報取扱事業者は、前項の規定により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、その手数料の額を定めなければならない。

(開示等の求めを受け付ける方法)
令第七条 法第二十九条第一項の規定により個人情報取扱事業者が開示等の求めを受け付ける方法として定めることができる事項は、次に掲げるとおりとする。
一 開示等の求めの申出先
二 開示等の求めに際して提出すべき書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録を含む。)の様式その他の開示等の求めの方式
三 開示等の求めをする者が本人又は次条に規定する代理人であることの確認の方法
四 法第三十条第一項の手数料の徴収方法

(開示等の求めをすることができる代理人)
令第八条 法第二十九条第三項の規定により開示等の求めをすることができる代理人は、次に掲げる代理人とする。
一 未成年者又は成年被後見人の法定代理人
二 開示等の求めをすることにつき本人が委任した代理人

(1)開示等を行う情報の特定 医療・介護関係事業者は、本人に対し、開示等の求めに関して、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができるが、この場合には、本人が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した措置をとらなければならない。 また、保有個人データの開示等については、本人の求めにより、保有個人データの全体又は一部が対象となるが、当該本人の保有個人データが多岐にわたる、データ量が膨大であるなど、全体の開示等が困難又は非効率な場合、医療・介護関係事業者は、本人が開示等の求めを行う情報の範囲を特定するのに参考となる情報(過去の受診の状況、病態の変化等)を提供するなど、本人の利便を考慮した支援を行うものとする。

(2)代理人による開示等の求め 保有個人データの開示等については、本人のほか、
@ 未成年者又は成年被後見人の法定代理人、
A 開示等の求めをすることにつき本人が委任した代理人により行うことができる。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、保有個人データの開示等の求めに関し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲において、以下の事項について、その求めを受け付ける方法を定めることができる。
(ア) 開示等の求めの受付先
(イ) 開示等の求めに際して提出すべき書面の様式、その他の開示等の求めの受付方法
(ウ) 開示等の求めをする者が本人又はその代理人であることの確認の方法
(エ) 保有個人データの利用目的の通知、又は保有個人データの開示をする際に徴収する手数料の徴収方法
・ 医療・介護関係事業者は、本人に対し、開示等の求めに関して、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができるが、この場合には、本人が容易かつ的確に開示等の求めをすることができるよう、当該保有個人データの特定に資する情報の提供その他本人の利便を考慮した措置をとらなければならない。
・ 保有個人データの開示等の求めは、本人のほか、未成年者又は成年被後見人の法定代理人、当該求めをすることにつき本人が委任した代理人によってすることができる。
・ 医療・介護関係事業者は、保有個人データの利用目的の通知、又は保有個人データの開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができ、その際には実費を勘案して合理的であると認められる範囲内において、手数料の額を定めなければならない。

【その他の事項】
・ 医療・介護関係事業者は、以下の点に留意しつつ、保有個人データの開示等の手続を定めることが望ましい。
−開示等の求めの方法は書面によることが望ましいが、患者・利用者等の自由な求めを阻害しないため、開示等を求める理由を要求することは不適切である。
−開示等を求める者が本人(又はその代理人)であることを確認する。
−開示等の求めがあった場合、主治医等の担当スタッフの意見を聴いた上で、速やかに保有個人データの開示等をするか否か等を決定し、これを開示の求めを行った者に通知する。
−保有個人データの開示に当たり、法第25条第1項各号に該当する可能性がある場合には、開示の可否について検討するために設置した検討委員会等において検討した上で、速やかに開示の可否を決定することが望ましい。
−保有個人データの開示を行う場合には、日常の医療・介護サービス提供への影響等も考慮し、本人に過重な負担を課すものとならない範囲で、日時、場所、方法等を指定することができる。
・ 代理人等、開示の求めを行い得る者から開示の求めがあった場合、原則として患者
・ 利用者本人に対し保有個人データの開示を行う旨の説明を行った後、開示の求めを行った者に対して開示を行うものとする。
・ 代理人等からの求めがあった場合で、
@ 本人による具体的意思を把握できない包括的な委任に基づく請求、
A 開示等の請求が行われる相当以前に行われた委任に基づく請求が行われた場合には、本人への説明に際し、開示の求めを行った者及び開示する保有個人データの内容について十分説明し、本人の意思を確認するとともに代理人の求めの適正性、開示の範囲等について本人の意思を踏まえた対応を行うものとする。

10.理由の説明、苦情対応(法第28条、第31条)
(理由の説明)
法第二十八条 個人情報取扱事業者は、第二十四条第三項、第二十五条第二項、第二十六条第二項又は前条第三項の規定により、本人から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、本人に対し、その理由を説明するよう努めなければならない。

(個人情報取扱事業者による苦情の処理)
法第三十一条 個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努めなければならない。

2 個人情報取扱事業者は、前項の目的を達成するために必要な体制の整備に努めなければならない。

【法の規定により遵守すべき事項等】
・ 医療・介護関係事業者は、本人から求められた保有個人データの利用目的の通知、開示、訂正等、利用停止等において、その措置をとらない旨又はその措置と異なる措置をとる旨本人に通知する場合は、本人に対して、その理由を説明するよう努めなければならない。
・ 医療・介護関係事業者は、個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な対応に努めなければならない。また、医療・介護関係事業者は、苦情の適切かつ迅速な対応を行うにあたり、苦情への対応を行う窓口機能等の整備や苦情への対応の手順を定めるなど必要な体制の整備に努めなければならない。

【その他の事項】
・ 医療・介護関係事業者は、本人に対して理由を説明する際には、文書により示すことを基本とする。その際は、苦情への対応を行う体制についても併せて説明することが望ましい。
・ 医療・介護関係事業者は、患者・利用者等からの苦情対応にあたり、専用の窓口の設置や主治医等の担当スタッフ以外の職員による相談体制を確保するなど、患者・利用者等が相談を行いやすい環境の整備に努める。
・ 医療・介護関係事業者は、当該施設における患者・利用者等からの苦情への対応を行う体制等について院内や事業所内等への掲示やホームページへの掲載等を行うことで患者・利用者等に対して周知を図るとともに、地方公共団体、地域の医師会や国民健康保険団体連合会等が開設する医療や介護に関する相談窓口等についても患者・利用者等に対して周知することが望ましい。

W ガイドラインの見直し等

1.必要に応じた見直し 個人情報の保護に関する考え方は、社会情勢や国民の意識の変化に対応して変化していくものと考えられる。また、法に対する国会の附帯決議において、法の全面施行後3年を目途として、法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされている。このため、法及び本ガイドラインや「診療情報の提供等に関する指針」の運用状況等も踏まえながら、本ガイドラインについても必要に応じ検討及び見直しを行うものとする。

2.本ガイドラインを補完する事例集等の作成・公開 厚生労働省は、医療・介護関係事業者における個人情報の保護を推進し、医療・介護関係事業者における円滑な対応が図られるよう、本ガイドラインを補完する事例集の作成等を行い、公表するものとする。

別表1〜6表

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