医療経済実態調査とは

 

最終更新日 2017/09/13 DscyOffice Top
当サイトの御利用上の注意 医療経済実態調査統計表
       

■ 医療経済実態調査

# 調査の目的: 医療機関の経営実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備すること。

# 調査の対象: 保険歯科診療所(抽出率1/50で地域別に階層化)

# 平成17年6月分(歯科診療所分)
 調査医療機関1241、回答数803、回答率64.7%、有効回答数755、有効回答率60.8%、内介護保険実施医療機関25。

# この調査における収支状況、給与費は平成17年6月1ヶ月間の数字。

# 統計データ
(1) 保険診療収入: 入院患者、外来患者の医療に係る保険診療収入(医療保険・公費負担医療)
(2) 労災等診療報酬: 入院患者、外来患者の医療に係る保険診療収入(労災保険・自賠責)
(3) その他の診療報酬: 自費診療収入等
(4) その他の医業収入: 学校医・産業医・当番医の手当て、健康診断、各種検診、文書料等の収入。その他(受取利息、配当金、補助金等)
(5) 介護収入: 居宅サービスに係る費用
(6) 給与費: 職員の給料、賞与(年間支給額の1/12)、退職金(前年実績の1/12)、法定福利費。専従者給与も含む。
(7) 医薬品費: 調査月に費消した医薬品の購入額
(8) 歯科材料費: 調査月に費消した歯科材料、診療材料、医療消耗器具備品の購入額
(9) 委託費: 歯科技工、医療用廃棄物、医療事務等の委託費
(10) 減価償却費: 建物、建物付属設備、医療機器、車両など(前年実績の1/12)
(11) その他の医業費用: 経費(福利厚生費、消耗品費、光熱水費、賃借料、事業税、固定資産税等)、その他(雑費、支払利息)
(12) 収支差額: (注)個人立歯科診療所の収支差額からは、開設者の報酬以外に、建物、設備について現存物の価値以上の改善を行うための内部資金に充てられることが考えられる。


# 平成17年のデータを見ると、院外処方箋の歯科診療所の方が収支差額が約10万円多い

 平成17年6月第 回医療経済実態調査より(個人歯科診療所分)

 医業収入(3544000円) - 医業費用(2197000円) = 差額収支(1351000円)前回調査比10.3%UP


■ 平成18年4月点数改正に向けて 051115

 医療経済実態調査統計表の医療経済実態調査のタブの一番下の表を御覧下さい。

 なんとか財政諮問会議の医療費値下げ圧力の根拠の一つにここ数年の公務員給与の減少がある。しかし平成元年から16年の間に歯科の差額収支は約22%減少している。さすがに公務員の給与はこんなに減っていないでしょう。つまり歯科の収支差額が減少していた時代にも公務員給与は増加していた。それなのに公務員給与が減少するときのデータだけを取り上げてそれに合わせて医療費を下げるという考え方が適正か?

 もっともこれをいうと、歯科の収支差額の減少の主因は歯科医の増加と言うでしょうけどね。しかしこの表をみると「歯科医の増加⇒患者の減少⇒収入の低下」という傾向よりも経費の増加が収支を圧迫しているのがわかる。

 それは平成元年に医業収入1万円を得るのに5895円の経費がかかっていたのに、なぜか平成3年には6677円に増加していることでもわかる。その後その金額は平成15年まで6600円台とほぼ横ばいであったが、今回の調査で6100円台まで大きく下げてきた。
 これは何を表すのか?平成元年と平成17年の調査がおかしいのか?それとも何らかの要因があったのか?ただ、もしこれがオリンピックの体操の採点表であれば、平成元年と平成17年の数値は採点の集計から除外される異常データになることは間違いない。

 平成3年の収支比率の低下の要因は、私見ではあるが私は、硬質レジン前装冠の導入による私費の減少が影響しているのでは無いかと思っている。保険と私費では原価率を含めた経費率が大きく違うのである。もっとも前装冠単冠保険導入は平成4年4月なんですけどね。前装冠のBrはそれに先行して導入されたのでその影響があるかな?

 平成17年の調査で収支差額が増加している要因は主として給与費とその他の経費の減少にある。
 給与費は前回調査比97%である。これは前回調査時の従事者数が3.6人から3.5人(歯科医を除く)に減っており、これは指数的には97.2%であり丁度給与費の減少とほぼ一致する。従って各歯科医院は従業員の減少によって経費削減に努めた事になる。しかしその他の経費が1027000から821000円に約20%減少している理由は全くわからない。当院のデータを見ても一般経費がこのように大きく減少する要因は見あたらないのだが、皆さんいかがでしょう?でも仮に2年間で一般経費を20%削減することができたのなら、それはそれで凄いことで、公務員も見習って欲しいものである。

 経年的に見ても16年間に医業費用は13%減少している。つまり個々の医療機関はそれだけ合理化を行って少しでも収支差額を確保するべく努力していたと言うことである。

 ところでこの状態で保険点数が5%値下げされるとどうなるか?収支差額は1351000から1198200と約12%減少し、収支差額立は38.1%から35.3%へと減少する。
 まぁ、以上はあくまでも歯科医師側から見た視点です。しかし国家財政が苦しいのは百も承知でそれに対しても答えなければなりません。こういった時には「三方一両損」の考え方で処理するしかありません。しかし現状は「政府1両得、患者・医療機関2両損」というのが現実のようです。この2両損をせめて1両損にとどめるように行動しなければならないでしょう。政府にとって財政支出を伴わないで医療機関に利益を及ぼす施策は、保険システム(特に請求・記帳)の合理化しかありません。保険点数の値下げを飲むときにはせめてこの点を実現させるようにする必要があります。そして、今回はその良い機会です。

# 私の要求する保険システムの合理化の要点はこれです
(1) 指導をおそれて萎縮請求となったりカルテの作成や届出などの事務処理負担の可能な限りの軽減。
(2) 点数の算定、レセプトの請求の繁雑さの軽減。これを実現するとレセコンの開発はかなり簡単になり、しいては大きなコスト削減に結びつけられます。

 医療は院長室の机(PC?)の上でおこっているわけではありません。ユニットの上でおきています。

 物理的な住みかをを失った者をHomeless(ホームレス)という。それに対して未来の希望を失って心の住みかを失った者をHopeless(ホープレス)という。もちろん両者は完全に区別できるものではなく、両者に跨った者も存在する。

 昨今の原油価格の高騰で運送業を廃業する業者も多いと聞く。しかし、歯科医療業界が同様の事態に突入したとき、はたして廃業して他業種に転業できる歯科医師は何割いることであろう。私は全く自信は無い。歯科医師界がHopelessの吹きだまりにならないように期待するだけである。

* 三方一両損: これは江戸時代の江戸南町奉行の大岡越前の守忠相の「大岡政談」の代表作の一つです。

■ 医療経済実態調査の月次収支差額をサラリーマンの月給として考えると 051114

医業収入 3544000円
保険診療 3076000円
他の診療  382000円
他の医業収入 86000円
介護収入 4000円

医業・介護費用 2197000円
給与費 981000円
医薬品費 42000円
歯科材料費 196000円
委託費 347000円
減価償却費 156000円
他の費用 474000円

収支差額 1351000円

(1) 保険診療収入
 平成15年都道府県歯科医療費(日歯広報から)によると歯科医院1軒あたりの保険診療収入の月額平均は3023123円となっている。従って今回の医療経済実態調査の3076000円は、調査サンプル数が642と少ないながらもほぼ実態をあらわしているのではないかと思う。
 医療実態調査によると平成16年の実日数1日あたりの保険点数は617.9点となっている。従って3076000円の収入を得るための診療人数は497人である。
 平成17年6月分を公務員の勤務日に合わせて土日休診で計算すると診療日は30日-8日=22である(ちなみに当院の場合は木日休診なので21日であった)。
 従って、1日当たりの診療人数は22.6人(保険診療のみ)、1日当たりの点数は13981点である。

(2) 他の診療収入
 これは労災保険をはじめとするいわゆる保険外収入をあらわしているが、この数字を検証するデータは持ち合わせていないので、保険診療収入に準じて実態をあらわしていると仮定する。しかしその他の医業収入に校医などの給与が入っていて、収支差額の計算に入っているのはなんかおかしい!どう考えてもそれは別に考えないとおかしいでしょ。

(3) 給与費
 これには従業員+勤務医の給与+専従者給与と法定福利厚生費が含まれる

(4) 委託費
 これは主として外注技工費である。この数字は院内技工や外注の度合いや診療体系によって変動する。今回の診療収入に占める委託費は約10%であり、個人的にはこんなもんかなと思う。ちなみに昭和58年の某調査データによると材料薬品費の割合は8%、外注技工料の割合は6.75%となっており、今回の材料薬品費約6.9%、外注技工料約10%と乖離がある。しかしその要因としては、院内技工士の減少による外注率のUP、院外処方箋率のUPによる薬剤購入費の低下などが考えられる。

(5) 収支差額
 1351000円という収支差額についてであるが、先日この中には投下資本に対する評価も加味しなければならないと述べたが、これは今回はおいておいて、財務省の幹部が言ったように、開業医はみなし公務員であるという発言をもとに、純粋に給与と想定して検討してみたい。

# 賞与の月次分
 給与であれば当然ここには賞与分も入っていると考えられる。
 国家公務員の賞与は、年3回(6月、12月、3月)で平成15年で俸給などの約4.4ケ月分というのが標準である。従って月次収支差額には0.37ヶ月分の賞与が入っていると考えられる。

# 退職金の月次分
 公務員の退職金の計算は「最後の月給本俸額×勤務年数×係数」から出されるが、今回は金属40年、係数1.0で計算する。
 したがって単純計算で40ヶ月分の退職金と仮定すると月次収支差額には0.083ヶ月分の退職金が入っていると考えられる。

# 社会保険料の事業主負担分
 厚生年金: 14.228%(本人+事業主)→事業主負担分7.114%
 健康保険: 1000分の82(本人+事業主)→事業主負担分4.1%
 従って社会保険料の事業主負担分は11.214%となる

# その他
 その他にも可処分所得レベルで考えると、青色申告特別控除と給与所得控除の額の乖離など様々な要因はあるが、今回は除外する。

(6) 結論
 従って、1351000円という月次収支差額には
賞与の月次分: 0.37ヶ月分
退職金の月次分: 0.083ヶ月
社会保険料の事業主負担分: 0.11ヶ月分(11.214%)
計 0.5633ヶ月分
故に月次報酬(いわゆる月給をYとすると)
Y × 1.5633 = 1351000円(月次収支差額)となり
Y = 864197円となる
この金額を多いととるか少ないと取るか?????

 なお給与として考えるなら、本来は歯科医師1名に換算して計算するのが筋でしょう。調査医療機関の平均歯科医師数は1.2人です。従って一人当たりの報酬として考えると720164円という数字になる。

 再度お断りしておくが、資本支出などの側面があるので、サラリーマンの給与と一律に比較することはできないのである。

■ 医師は実質公務員? 051113

共同通信社発:  診療報酬は税金と保険料で8割以上が賄われており「医師は実質公務員」(財務省幹部)との指摘がある。公務員給与と物
価は1999年度から7年間で平均約5%下がる一方、診療報酬本体は0・6%上昇しており、「5%以上の格差があり、是正すべきだ」(財務省)
としている。

 えぇ〜?(マチャマチャ風に)、税金で賄われている仕事をしている人が実質公務員なら、公共事業をしている建設会社の社員も公務員って言うわけ?私財を政治(国民皆保険)に利用して、都合の良いときだけ公務員扱い?それなら一般の公務員にも、行政上の資本提供させろってんだ。開業医の所得は勤労所得と資本所得の両面があるということさえわからないんですからね。

 ところで、この勤労所得と資本所得の意味がわからない方に。
たとえば、病院の勤務医の給与は勤労所得です。その勤労所得には、その立場によっては一部管理職手当といった「経営陣の一角」としての意味合いを持つ分もあります。
 しかし、開業医は国や公共財を使用して収益を上げているわけではありません。全て私財を投入しているわけです。
 例えば自己資金1億をかけて開業して、年間の収支差額が2000万円あると仮定します。この場合、院長の勤労所得(労働者+経営者)があるのは
言うまでもありません。しかし、医院という資産がなければこれらの所得を生み出すことは不可能なのです。
 これを会社などにたとえると、1億円は資本金です。資本金には配当がつきものです。一般的な配当率10%をもとに計算すると。2000万の所得のうち1000万は投下資本がうみだした、本来企業の剰余金になるべき所得と考えられます。この場合は100%自己資金を前提にしていますが、仮に100%借入金の場合はどうなるか?今は金利が低いとはいえ、長年を平均すると借入金利の標準金利は約5%くらいになります。つまり年間500万円は金利の支払いとして支出増となるわけですから、この院長の年間所得は1500万円になります。

 このように投下資本の生み出す利益を無視して、単なる月次収支だけ問題にしても意味ありません。歯科医師会もこういった配慮をした上での対案?をちゃんと出すべきです。
 いま、個人開業医が行っていることを一般の公務員に当てはめるとこうなります。
 「国家公務員になるときは、全ての者は国に供託金を出さなければならない。その供託金には利子はつかない。そして、公務員を辞めた時は、その供託金は払い戻しされるが、その時々の国家財政の状態によっては全額が払い戻しされるとは限らないし、場合によっては供託金の追加支出を求められる場合もある」
 こんな条件で、公務員になる人いるでしょうか?逆に言うと、国家財政が好転すると払い戻される供託金が増える仕組みなら、公務員の無駄遣いも減るかな?

なお、医療は営利で行っていけないという趣旨をもとに、医業所得には資本所得はいれないというひとがおりますが、配当は禁じられていますが資本の蓄積は認められていますから、資本所得という考え方は合理的だと思う次第です。

■ 資格取得費用 051108

 収支差額には、後継者または本人の育成費用が経費が含まれている。もちろんどの様な職業に就くにも育成経費は必要だが「医師」と「操縦士」の育成経費は他の職業に比べて格段に高額である。そして、医師のほとんどは自己資金で資格を取得しているが、操縦士の多くは社費(航空会社の経費)又は国費(自衛隊)で取得している。

 これって、結構大きなポイントの一つです。
 例えばタクシー会社で、会社から費用を出して運転手に2種免許を取らせるとりっぱに必要経費となります。
 同様に医院や歯科医院で無資格の従業員を看護学校や衛生士学校に通わせると、これまた経費として認められます。
 しかし、将来の歯科医師(将来の院長)を教育すべく歯科大学に行かせる費用は家事関連費として必要経費にはできません。まぁ、所得税法上
はある意味当たり前かも知れません。

とすれば、歯科医師になるために必要な資金は、なった後の所得から償却せざるをえません。勤務医の場合には給与、開業医の場合には医業所
得です。今の学費は判りませんが、公立は別にしてたぶん2000万(一般的なサラリーマンの教育費との差額)はかかるのでは無いかと思います。従って40年で償却しても年に50万、経過利息を勘案すると70万くらいにはなるのかなぁ?

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