歯科医療と歯科医師会

 

最終更新日 2017/09/13

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歯科医師会とは 歯科医師会加入の是非 歯科医師会加入のコスト 歯科医師会と政治活動

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歯科医師会とは

 日本歯科医師会とは学術団体として設立された公益法人としての任意加入団体であり、その歴史は昭和23年(旧法による歯科医師会は明治36年)に始まる。主とした活動は、「医道高揚」「公衆衛生活動」「学術研修事業」などである。そして、日本歯科医師会とは別に、「県単位」の歯科医師会と「市単位」(所により郡単位)の歯科医師会が存在するが、これら3つの歯科医師会は各々別法人であり、通常歯科医師会に入会すると言うことはこれら3つの歯科医師会の全てに入会することを意味する。
 また、歯科医師会と類似した組織に保険医協会(保団連)が存在し、主として開業歯科医(医師を含む)を対象として「学術」「福利」等の活動を行っている。

参考 日本歯科医師会 保団連
 

歯科医師会加入の是非

 歯科医師会への加入の是非、そしてメリット・デメリットについてはたびたび議論されるところである。
歯科医師が歯科医院の運営を行うと言うことは、ただ単に疾病の治療を行うだけでなく、公衆衛生活動など地域と密着した活動にも関係してくる。その目的のためにも職域団体への加入は非常に大事なことであると言える。
できれば歯科医師全員が加入する方向で考えて行く必要がある。しかしその加入率(組織率)は、100%に遠く及ばない。その理由として、「勤務医の未加入」、「夫婦開業の片割れの未加入」等の要因も挙げられるが、高額な入会金や会費などが関係していることは間違いないで有ろう。
 これら会費の高額さや様々な理由により、歯科医師会の入会をあきらめて「保険医協会」だけに入会しようとする歯科医もいる。しかし、この両者の入会においては、「どちらにはいるのが良いのか?」と言う問題では無い。

 それでは歯科医師会に加入することによる具体的なメリット・デメリットについて考えてみたい。
まずメリットとして第一にあげられるのは、同業者間の交流である。もちろん、歯科医師会に加入しなければ交流できないわけではないが、大事な要素の一つであることは間違いない。
 次に地域の公衆衛生活動への参加の窓口としてのメリットである。「学校医」や「3才児検診」を始めとした行政からの依頼は通常歯科医師会を通して行われる。そのために歯科医師会に加入しないことにより、これらの活動に参加する事が困難になると言うことが考えられる。
 次に情報の入手と言う側面において歯科医師会の果たす役割の大きさがあげられる。我々診療において避けて通ることのできない保険情報を始めとして学術情報など様々な情報を提供してくれる歯科医師会の存在価値は大きい。
 そして最後に歯科医師会にはいると「便利」で「楽ができる」と言うことである。歯科医師会においては本来の組織に加えて、「労働保険組合」「歯科医師国保組合」と言った付随した組織が存在し、様々な業務の代行を行ってくれる。これは歯科医師にとっては非常にありがたいことなのである。また歯科医師会を通して我々個々の歯科医の要望を「行政」や「政治」に反映させることが可能なことも大きなメリットである。

歯科医師会加入のコスト

 歯科医師会加入のコストはどのくらいになるのであろうか。歯科医師会に加入している方は手元に届く領収書などによりその大体の金額は把握しているものと思われる。しかし、未入会の方にとっては興味のわくところであろう。
 そこで歯科医師会の「入会金」と「会費」について概略を記載する。

 歯科医師会は次の項でも述べるように、「市」「県」「国」の三層のピラミッド構造になっている。そして個人たる歯科医師はそれらの歯科医師会に各々加入する必要がある。これらの歯科医師会の入会金は地域にもよるが、三者合わせて大体100・150万円位であろうか。そして年会費は次の項で述べる日歯連盟も併せて約50万円程度である。

参考資料(平成6年度)

日本歯科医師会 入会金100,000円、年会費38,000円、福祉共済負担金(強制加入)月8,500円、日歯連盟会費年額35,000円

都道府県歯科医師会会費、市町村歯科医師会会費は地区毎に異なるが合計で月額4・50,000円程度が目安である。また、会費の他に種々の共済掛け金などの出費があることも忘れてはならない。

歯科医師会と政治活動

 歯科医師となり歯科医療を行う場合密接に関係するのが歯科医師会であり、昭和23年に設立されて現在に至っている。

 現在の法体系において歯科医師会は任意加入の団体であり、公益法人として歯科業界を代表するものの一つとして機能している。その辺が、弁護士や税理士になったときに「弁護士会」や「税理士会」に当然加入とされることと異なっている。

 弁護士は地方裁判所毎に設立された弁護士会に加入し、その弁護士会が集まって「日本弁護士連合会」を組織している。つまり「日本弁護士連合会」の会員は地域の弁護士会という法人である。
 しかし歯科医師の場合は通常「市」「県」「国」の三段階の歯科医師会に加入する必要があり、「県の歯科医師会」は「日本歯科医師会」の下部組織とはなっていない。「県の歯科医師会」と「市の歯科医師会」の関係においても同様である。
これをまとめて説明すると、
● 日本歯科医師会の会員は「法人会員たる県の歯科医師会」と「個人たる歯科医師」から構成される。
● 県の歯科医師会の会員は「法人会員たる市の歯科医師会」と「個人たる歯科医師」から構成される。
● 市の歯科医師会の会員は「個人たる歯科医師」から構成される。
注1 この場合の法人とは必ずしも法人格を有するものとは限らない。
注2 この場合の「市」とは必ずしも「市」単位ではなく、地域によっては「郡や町」を指す場合もある。
注3 法人の医療機関が法人として会に加入するケースは無く勤務する歯科医師個人として加入する。ただし病院会員や準会員もある。

 こういう立場として存在する歯科医師会の目的の柱は「学術団体」「会員の福利」が主なものである。
 しかし我々が日常行っている医療行為が、医療保険という「政治」や「行政」と密着したシステムを軸に動いていることを鑑み、職域の意志を集約して「政治」や「行政」にアプローチする重大な役目を果たしている事も事実である。
そのために時として政治活動に関係する必要も生じる。しかし、歯科医師会そのものは公益法人として政治活動を行う事はできず、その結果として「歯科医師連盟」が存在し、政治へのアプローチの窓口になっている。

 ここで、「法人の政治活動」と「法人に属する個人への政治活動の強制の是非」について考えてみたい。

まず第一に「法人」は政治活動を行うことが可能であるのか?
 「政治活動の自由は表現の一部をなし、民主政治を支える重要な権利であるから、法人にもその保障は当然及ぶと解されている。しかし、強大な経済力をもつ法人に全面的に自由を認めるならば、自然人(個人)の参政権を不当に制約するおそれがある。従って、法人の政治活動の自由は、その保障の程度において、自然人(個人)に比較して制約されると考えるべきである。」 これが、法人の政治活動に対する一般的な憲法解釈である。

 これを争点にした代表的な訴訟として「八幡製鉄政治献金事件」がある。
最高裁判決昭和45.6.24(八幡製鉄政治献金事件)
 「憲法第三章の定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなど政治的行為をなすべき自由を有するのである・・・憲法上は、公共の福祉に反しない限り、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するとなす論旨は、採用の限りではない。」

法人の人権行使の限界
 
法人の人権行使には、自然人(個人)の人権行使を不当に制限するものであってはならないという限界があると考える。なぜなら、そもそも法人は目的を有するのであるから、その目的に反することはできないはずであるし、また現代社会においては株式会社を中心とする法人が国民経済に君臨し、強大な地位を有していることから、法人に自然人(個人)と同様の人権の保障を認めては、本来人権の保障の対象であった自然人に対する人権の保障の意味が無くなってしまう。
 ゆえに、法人の巨大な社会的権力に対応して経済的自由権や政治活動の自由につき自然人(個人)とは異なる規制に服することがあることを認めるべきである。

第二に、構成員(会員)との関係においても、特別の限界を認めなければならない。少なくとも、組織強制のある法人あるいは公的法人について、法人の機能に応じて、その表現行為も限定され、また構成員の意思反映が図られるべきである。つまり、「弁護士会」や「税理士会」と言った強制加入法人においては個人の意志は尊重されると言うことである。

 これを争点にした代表的な訴訟として「税理士会政治献金強要訴訟」がある。
 最高裁判決平成8.3.19(税理士会政治献金強要訴訟)
「法が税理士会を強制加入の法人としている以上、その構成員たる会員には様々な思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することを当然に予定されている。・・・特に、政党など規正法上の政治団体に対して金員の寄附をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏をなすものとして会員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄というべきである。・・・・そうすると、前記のような公的な性格を有する税理士会が、このような事柄を多数決原理によって団体の意思として決定し、構成員にその協力を義務付けることはできないというべきであり・・・税理士会がそのような活動をすることは、法の全く予定していないところである」

 つまり、この判決は強制加入の公益法人である税理士会においては、営利法人と異なり会員の思想・信条の自由を重視し、政治献金を税理士会の目的の範囲外と判断したと言うことである。

 さて、本来の趣旨である「歯科医師会の政治活動」に関して話を戻すと、
歯科医師会は「強制加入」とはされていない任意団体であるが、公益団体であることも間違いのない事実である。
その公益団体である歯科医師会は直接政治活動を行うことはできない。(注:厳密に言うと公益法人が政治活動を出来ないと言う規定は無く、定款や補助金との複雑な関連に於いて発生する制限と思われる。→ 参考 )
そこで歯科医師会と言う団体とは異なる任意団体の必要性が生じてくる。そのために昭和29年に設立されたのが「歯科医師政治連盟(現在の歯科医師連盟)」である。歯科医師は歯科医師連盟を通じて政治活動を行う事になる。しかし本来任意加入であるはずの歯科医師連盟の強制加入(連盟では当然加入と言っている)をめぐり、様々なトラブルが生じている。
 その代表的なものが、「日歯連盟訴訟」である。
これは平成8年10月に「日歯連盟が会員の退会を認めないのは思想・信条の自由を侵害している」として全国の10名の歯科医師が「日歯連盟などを相手に退会の確認と、一人当たり300万円の慰謝料」などを求めておこした訴訟である。

 この訴訟の趣旨は「日歯連盟と歯科医師会の同時加入によって思想・信条の自由が侵害されている」と言うことであるが、その根底には「日歯連盟と日本歯科医師会の活動の混同であり、又会計の不明朗、会員に対しての情報の非公開、そして高圧的な活動の押しつけ」等が存在し、訴訟を提起した原告以外の歯科医師の多くに共通する思いがあることがうかがえる。
 これに対して日歯連盟では「日本歯科医師会」と「日歯連盟」とは表裏一体であり、日本歯科医師会員は日歯連盟に当然加入と言う考えを貫いている。強制でも任意でもなく当然加入とはどういう意味なのか、非常に理解しにくい考えではある。しかし任意加入として組織率の低下を招けば当然の事ながら会費ひいては政治献金の減少とそして政治の場への発言力の低下を招く。その結果として日歯連盟設立の目的を達成することが困難となる。
 逆に言うと一定の手続きのもとに、日歯連盟がその目的の達成のために特定政党を支持する姿勢をとるのは容認せざるを得ない。当然加入という主張も目的達成のための便法なのであろう。

 しかし、この便法において日本歯科医師会会員が日歯連盟に入会し、組織としての政治活動の一翼を担うことと、一個人としての政治活動を強要されることは区分して考えなければならない。上記でも述べたように、個人の権利は法人の権利に優先するとされるのが憲法解釈であるからである。

 しかし、個々の是非はともかくとして、多くの歯科医師が「歯科医師会」「歯科医師連盟」の会員となり、職域の色々な意味での発展のため活動する必要があることは間違いない。


政治資金規正法第二十二条の三(抄)

 「政治活動に関する寄付の一切の禁止」
 地方公共団体から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。

政治資金規正法第二十六条の二(抄)

 「上記の違法行為に対する罰則規定」
 次の各号の一に該当する者は、三年以下の禁錮又は五〇万円以下の罰金に処する。
 一 第二十二条の三第一項又は第二項(これらの規定を同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して寄附をした会社その他の法人の役職員
として当該違反行為をした者


■ 歯科医師会と歯科医師連盟 040200

 最近歯科医師連盟に関する話題が巷を駆けめぐっている。中には退会者が相次いでいるという話も聞かないでは無いが、政治や行政に密着に関係する医療を取り扱う場合、政治活動は避けて通れない。たしかに歯科医師会でも政治活動は行えるのではあるが、、、、、、それには制限がある。できれば退会を考えるのではなく、内部からの改革を目指したいものである。

なお日歯連盟の事件に関してはこちらを御参考に。 http://www12.ocn.ne.jp/~saisei2/

 


■ 歯科医師会関係の一考察

■ 業界団体と独禁法

# 140131: 公正取引委員会は埼玉県の医師会に独禁法違反で排除命令。インフルエンザの予防注射の料金を会員に文書で指示したとされているが、医師会では「推奨価格を提案しただけで強制していない」とのこと。

# 130423: 医師会の独禁法違反
インフルエンザワクチンの予防接種にからみ、埼玉県内の医師会が「最低料金を設定した疑い」で、公正取引委員会は独禁法違反(事業者団体による競争制限)容疑で立入検査。

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