カルテの保存期間
Top 最終更新日 2019/08/27

■ カルテの保存期間

# 歯科医師法では5年。
第23条 歯科医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する歯科医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その歯科医師において、五年間これを保存しなければならない。

# 保険医療機関及び保険医療養担当規則
(帳簿等の保存)
第9条  保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。

「完結の日」とは具体的にいつをさすと考えるべきか?

唯一記載のあった「完結の日」とは、具体的にいつをさすと考えるべきなのでしょう?厚生労働省の見解では、保険者が決めるとされているようです。過去に、下関市では厚生労働省に対して見解を確認したところ、下記のように回答され、「完結の日」=「使わなくなった日」と定めたようです。

【厚生労働省に確認したところ、「現在、「完結の日」の起算日について定めがないので、保険者判断による。」との回答を得ました。よって下関市においては、「完結の日」は、その記録を「使わなくなった日」のことといたします。下関市のサイト

しかし、法律に具体的に示されていないことですから、実際に裁判になってみないと、これで良いのかどうか分からないというところでしょう。過去の裁判事例をみるに、最終診療日を完結の日とみるというのが一般的なようです。

これは公法上の保管期間ですが、民事も加えれば、「債務不履行」あるいは「不法行為」による賠償請求を 前提としなければなりません。ちなみに債務不履行の時効は「債権成立から10年(民法167条)」、不法行為については「不法行為から20年(損害及び加害者を知った時から3年)(民法724条)」です。

まぁ、これらを考えれば実務的には10年または20年となりますが、うちでは10年保存ですねぇ。

ところで、歯科医が死亡した場合には保存義務はどうなるんだろう?死亡後の訴訟対応は別としてね。

■ カルテの保存期間2

 カルテの保存期間においては、歯科医師法と健康保険法(療養担当規則)によって5年という文言は同じだが、内容は微妙に異なる。
 
 歯科医師法は1診療単位、つまり実質的には1日単位で捉えてもいいと思う。しかし、実務的にいえば1日単位では、インレーの印象と装着のように中途半端に区切られるので、一連の治療は1診療と考えた方がわかりやすい。
 
 保険診療においては開始(初診)と終了・完結(治癒、中止、死亡)という概念があるので、一連の治療(1初診)において、治癒、中止、死亡が発生した場合には診療の完結と判断してもいいような気がする。
・ 治癒: 1初診において、予定された一連の治療を終了し、再診の必要性がないと主治医が判断した場合。
・ 中止: 受診者の意志において、2カ月以上診療が中断された場合。その他の基準もある。
・ 死亡: 死亡は明確な判断基準だが、死亡の事実を知り得ないケースも多く、知り得たケースに限定するべきであり、実務的には「知った状況」を記録として残す必要性があるだろう。

【私見&当院の実務】
・ 保存期間の解釈には、)‥(歯科医師法の文言、判例)健康保険法、保険医療養担当規則の文言8生労働省の見解・通知などがある。
・ 当院においては、厚生労働省の見解(厳密には、人づてに聞いた指導などにおける一部技官の見解)に準拠し、1初診の考え方ではなく、受診者の受診記録単位で5年を解釈して運用している。
 なお、以下は原則的な対応法で、実態に応じた例外があることを申し添えます。
・ カルテの作り方(綴じ方): 1カルテの作り方(綴じ方)は、1初診単位では、受診履歴にもとづいたもので、前回の最終来院日から5年経過した場合の再初診の場合には新しいカルテをおこすこととしている。ただし、5年を経過していなくても、保険資格が変わった場合には、新しいカルテをおこすし、5年以上経過していても、前回診療との一連性がある場合や、一連性はなくても、以前のデータが必要な場合には、新しいカルテを起こさない場合もある。
・ このようにすると、同じ受診者において、複数のカルテが存在することになり、以前のカルテの管理や処分に対する対応が必要となる。その管理は、当院ではFileMakerで作成したカルテ管理アプリを利用している。これは、データベースの仕訳的には簡単なものなので、各種レセコンに実装できれば便利なのかも知れない。こういった面倒な管理を無くすためには電子カルテが便利だし、私の使っているレセコンも対応しているが、私は根っからのアナログ派なので、未だに電子化はなされていない。 

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